転職で年収が下がるときの家計の見直し|手取りの計算方法と住民税・固定費
転職で手取りはどう変わる?額面との違いは?

給与明細の「額面(総支給額)」から、次のものが引かれた残りが手取りです。
- 健康保険料(40〜64歳は介護保険料も)と子ども・子育て支援金 — 2026年4月分から、健康保険料とあわせて徴収されています[2]
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税(復興特別所得税を含む)
- 住民税 — 前年の所得に対する税額
このうち、社会保険料と所得税は新しい職場の給与に合わせてすぐ変わります。住民税だけは前年の所得で決まるため、すぐには変わりません。転職で収入が下がるときは、この「ずれ」の期間に家計が苦しくなりやすい点に注意します。
手取りはどう計算する?社会保険料・税金の仕組み
健康保険料・厚生年金保険料
どちらも「標準報酬月額(月々の給与を区切りのよい幅で区分した額)× 保険料率」で計算し、事業主と本人が半分ずつ負担します(健康保険法第161条、日本年金機構)[1][3]。
- 厚生年金保険料率 — 18.3%で固定されています。本人負担はその半分です[3]
- 健康保険料率 — 協会けんぽは都道府県ごとに違います。令和8年度は東京都が9.85%、介護保険料率は全国一律1.62%、子ども・子育て支援金率は全国一律0.23%です[2]。健康保険組合は組合ごとに違います
- 賞与にもかかる — 賞与は「標準賞与額」に同じ料率をかけます[3]
雇用保険料
毎月の賃金に料率をかけます。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の一般の事業の労働者負担は1,000分の5です[4]。
所得税
毎月の所得税は、その月の給与から社会保険料等を引いた後の金額と、扶養親族等の数をもとに、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」で求めます。勤務先に「扶養控除等申告書」を出していれば「甲欄」を使います[5]。年の途中で転職した人は、前の職場の源泉徴収票を新しい勤務先に出すと、前の職場の給与も含めて年末調整を受けられます[6]。
住民税
所得割の税率は都民税4%・区市町村民税6%の計10%で、前年の所得に応じてかかります。給与からの天引き(特別徴収)は6月から翌年5月までの12回です(東京都の例)[7]。
計算の見本(協会けんぽ・東京都・39歳以下)
以下は計算の仕方を示す見本です。月の給与と標準報酬月額をどちらも仮に30万円とした場合で、給与の水準を示すものではありません。
| 項目 | 計算 | 本人負担(見本) |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 30万円 × 9.85% ÷ 2 | 14,775円 |
| 子ども・子育て支援金 | 30万円 × 0.23% ÷ 2 | 345円 |
| 厚生年金保険料 | 30万円 × 18.3% ÷ 2 | 27,450円 |
| 雇用保険料 | 30万円 × 5/1,000 | 1,500円 |
| 社会保険料の合計 | 44,070円(給与の約14.7%) | |
| 所得税 | 30万円 − 44,070円 = 255,930円 と扶養親族等の数から、源泉徴収税額表で求める | |
| 住民税 | 前年の所得で決まった額(市区町村からの通知で確認) | |
40〜64歳は介護保険料(30万円×1.62%÷2=2,430円)が加わります。実際の額は端数の処理などで変わるため、給与明細で確認してください。
見直しのときは、今の給与明細の控除額と、新しい職場の給与で計算した控除額を並べて比べると、手取りの差がつかみやすくなります。
社会保険料は、いつから新しい給与で決まる?
入社すると、入社時の報酬をもとに標準報酬月額が決まり、その年の8月まで(6月1日〜12月31日に入社した人は翌年8月まで)使われます。その後は、毎年4〜6月の報酬で決め直し(定時決定)、9月から翌年8月まで使います。昇給・降給で固定的な賃金が変わり、3か月の平均が大きく変わったときは途中で改定されます(随時改定)[3]。
つまり、社会保険料は最初の給与から新しい職場の水準で引かれます。手当(夜勤手当・通勤手当など)の有無で報酬の額が変わる点も、見込みを立てるときに確かめておきます。
住民税は転職してもすぐには変わらない?
変わりません。転職した年度の住民税は、前年(前の職場で働いていた年)の所得に対する税額です。転職した年の収入が住民税に反映されるのは、翌年6月からです[7]。
- 収入が下がった場合 — 翌年5月までは、前年の高い収入に応じた住民税が続きます。手取りの見込みはこの額で立てます
- 退職から入職まで空白がある場合 — 給与からの天引きが止まり、納付書で払う形になることがあります
- 退職した時期で変わること — 1月1日〜4月30日に退職すると、5月までの残りの税額を、最後の給与や退職金からまとめて引かれる場合があります(地方税法第321条の5)[9]
退職・転職したときの住民税の払い方は、退職した年の住民税で詳しく解説しています。
賞与・手当・退職金で見落としやすいことは?
- 賞与の支給条件 — 新しい職場の賞与が入職した年から出るか、支給の対象期間や在籍の条件はどうかは、勤務先ごとに違います。労働条件通知書や就業規則で確認し、年間の手取りの見込みに入れるかを決めます
- 手当の内訳 — 住宅手当・扶養手当・夜勤手当などは、額面に含まれる一方で支給の条件があります。月によって変わる手当は、少なめに見込むと安全です
- 退職金 — 受け取る額と税金の仕組みは退職金の税金の計算方法を参照してください。生活費に充てるか、残しておくかを先に決めておくと使い過ぎを防げます
- 企業型確定拠出年金 — 前の職場で加入していた人は、移換の手続きが必要です(企業型DCは転職したらどうなる?)
固定費はどこから見直す?

収入が変わるときは、毎月の食費などを細かく削るより、毎月決まって出ていく固定費を見直すほうが、一度の手続きで効果が続きます。次の順に書き出すと整理しやすくなります。
- 住まい — 家賃・住宅ローン・駐車場。転職で通勤先が変わるなら、通勤手当の上限や引っ越しの要否もあわせて考えます(転職と引っ越しの順番)
- 通信 — スマートフォン・インターネット回線の料金プランと、使っていないオプション
- 保険 — 生命保険・医療保険の保障の内容と保険料。勤務先の団体保険に入っていた人は、退職で終わるものがないか確認します
- 定期的な支払い — 動画・音楽などのサブスクリプション、会員費、習い事
- 車 — 新しい通勤手段で車が必要か。保険・駐車場・税金を含めて考えます
見直すときは、解約の条件(違約金・最低利用期間・更新月)を契約書面や会員ページで先に確かめます。保険は、解約してから新しい保険に入れないことがないよう、入り直す場合は先に新しい契約の可否を確認します。
退職から入職まで空白があるときは?
空白期間があると、その間の国民健康保険・国民年金の保険料が新たにかかり、住民税の納付書も届くことがあります。手続きの期限と保険料の考え方は、空白期間の健康保険と空白期間の年金、まとめは退職後の手続き一覧にあります。退職日・入職日を月末・月初のどちらにするかで、どの制度の保険料がその月にかかるかが変わる場合もあります(健康保険法第156条第3項など)[1]。
家計の見直しを相談したいときは?
税額や保険料そのものは、市区町村・健康保険・年金の窓口で確かめるのが確実です。そのうえで、収入が変わったあとの支出の配分や保険の見直しを人と一緒に整理したい場合は、家計の相談サービスを使う方法もあります[8]。
次の職場は条件を確かめてから選ぶ
手取りの見込みを立てるには、給与・手当・賞与・通勤手当・社会保険の加入などの条件を、応募先の採用ページと労働条件通知書で確かめることが出発点です。採用直行便の条件から探すでは、地域の病院・クリニックの公式採用ページを一覧で見られ、条件を各医療機関のページで直接確認できます。直接応募の進め方は直接応募ガイドにまとめています。
参考資料(確認日 2026年10月24日)
- 健康保険法 第156条・第161条(e-Gov法令検索) 法律
- 全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r08/index.html
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-01.html
- 東京労働局 ハローワーク立川「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/tachikawa/kyushokusha/koyouhokenryouritu08.html
- 国税庁「No.2511 税額表の種類と使い方」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2511.htm/「令和8年分 源泉徴収税額表」 ページ
- 国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm
- 東京都主税局「個人住民税」 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/life/kojin_ju
- All About家計相談所(株式会社オールアバウト) https://allabout.co.jp/product/105972/money-plan.html
- 地方税法 第321条の5(e-Gov法令検索) 法律
よくある質問
転職で給与が下がったら、手取りはすぐに下がりますか?
社会保険料と所得税は、新しい職場の給与をもとにすぐ計算されます。社会保険料は入社時の報酬で標準報酬月額が決まり、所得税は毎月の給与から社会保険料等を引いた額で決まります。一方、住民税は前年の所得にかかるので、転職した年度の住民税は前の職場の収入がもとになり、すぐには下がりません。
手取りはどうやって計算しますか?
額面の給与から、健康保険料(40〜64歳は介護保険料も)、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税を引いた額が手取りです。健康保険料と厚生年金保険料は標準報酬月額に料率をかけた額の半分を本人が負担し、所得税は国税庁の源泉徴収税額表で求めます。
住民税はいつから新しい収入に合わせた額になりますか?
住民税の所得割は前年の所得に対してかかり、給与からの天引きは6月から翌年5月までです。転職した年の収入が反映されるのは、翌年6月からの住民税です。
家計の見直しは何から始めればいいですか?
まず新しい職場の手取りの見込みを出し、住民税が前年の収入のまま続く期間を確認します。そのうえで、通信費・保険料・サブスクリプションなど毎月決まって出ていく固定費を書き出し、契約内容と解約・変更の条件を確かめて見直します。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。