看護師の採用試験の小論文・作文の書き方|テーマ例・構成・時間配分と例文(見本)
小論文と作文はどう違う?

一般に、作文は自分の経験や思いを書くもの、小論文は問いに対して自分の意見を示し、理由と根拠で説明するものとされます。ただ、採用試験では呼び方が混ざっていることもあるので、呼び方より出題文が何を求めているかで判断します。
- 「〜について、あなたの考えを述べなさい」 — 意見と理由が中心(小論文の書き方)
- 「〜の経験から学んだこと」 — 経験と、そこから得た考えが中心(作文に近い書き方)
- 「当院で取り組みたいこと」 — 応募先の理念・特徴と、自分の経験・目標を結びつける
どちらの場合も、最初に問いへの答えを示し、最後に看護師としてどう行動するかで締めると、読み手に伝わりやすくなります。
よく見られるテーマの例は?
出題のテーマは病院ごと・年度ごとに違い、決まった傾向を示す公的な資料はありません。ここでは、看護の基本的な考え方から考えやすいテーマを例として挙げます。
- 看護観・理想の看護師像 — 「あなたが目指す看護師像」「大切にしたい看護」
- 患者の権利と尊厳 — 日本看護協会の「看護職の倫理綱領」(2021年3月公表、本文16条)は、第1条で人間の生命・尊厳・権利の尊重を、第4条で人々が自らの意向や価値観にそった選択ができるよう支援することを掲げています[1]
- チーム医療・多職種連携 — 同綱領第9条は、看護職が多職種で協働し、よりよい保健・医療・福祉を実現することを掲げています[1]
- 医療安全 — 「ヒヤリ・ハットから学んだこと」「安全な看護のために心がけること」
- 地域とのつながり — 厚生労働省は、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を進めています[2]。退院支援や在宅療養との関わりを問う形が考えられます
- 経験と目標 — 「これまでの経験から学んだこと」「入職後に取り組みたいこと」「5年後の自分」
応募先の採用ページや病院案内に、看護部の理念や大切にしていることが書かれていれば、それに関わるテーマを1つ選んで練習しておくと、面接の準備にもつながります。過去の出題が説明会や採用ページで案内されることもあります。
構成はどう組み立てる?
短い時間で書く採用試験では、序論・本論・結論の3段が書きやすい型です。分量の目安は、序論2割・本論6割・結論2割程度です。
- 序論(問いへの答え) — 「私が目指す看護師像は、〜な看護師です」と、最初の1〜2文で答えを示します
- 本論(理由と具体例) — なぜそう考えるかの理由と、それを裏づける経験・学びを1つ。具体例は1つにしぼると、深く書けます
- 結論(これからどうするか) — 答えをもう一度短く示し、入職後にどう行動するかで締めます
書き始める前に、余白に構成メモを作ります。「答え」「理由」「具体例」「入職後」の4つをそれぞれ一言で書き出してから清書すると、途中で論点がずれにくくなります。
字数と時間配分はどう考える?

指定の字数と時間は試験によって違います。書き方の目安として、次のように分けて考えます。
| 例(書き方の目安) | 構成メモ | 清書 | 見直し |
|---|---|---|---|
| 800字・60分 | 10〜15分 | 35〜40分 | 5〜10分 |
| 600字・45分 | 約10分 | 約30分 | 約5分 |
- 字数 — 指定の字数は超えないようにし、大きく足りない状態も避けます。8〜9割以上を埋めるつもりで構成を考えます
- 原稿用紙 — 書き出しと段落の初めは1マス空ける、句読点やかぎかっこも1マスに書く、などの基本に従います。行の最初に句読点が来るときの扱いなど、指示があれば従います
- パソコンで書く場合 — 字数の数え方(空白・改行を含むか)を確かめ、変換の誤りを見直します
書くときに気をつけることは?
- 患者さんが分かる情報を書かない — 看護師には、業務上知った人の秘密を正当な理由なく漏らしてはならない守秘義務があります(保健師助産師看護師法第42条の2)[3]。看護職の倫理綱領第5条も、対象となる人々の秘密を保持し、個人情報を適正に扱うことを掲げています[1]。氏名・イニシャル・年齢・病名の詳細・時期・施設名などは書かず、「受け持った高齢の患者さん」程度の書き方にします
- 前の職場の内部のことを書かない — 職場の不満や、院内の出来事の細かい経緯は書きません
- 話し言葉を使わない — 「〜じゃない」「すごく」などは「〜ではない」「とても」に。文末は「だ・である」か「です・ます」のどちらかにそろえます
- 「思う」を重ねない — 「〜と考える」「〜が大切だ」など、言い切る形を混ぜると主張がはっきりします
- きれいごとで終わらせない — 「患者さんに寄り添う」だけでなく、寄り添うために具体的に何をするかまで書きます
厚生労働省は、家族のことや尊敬する人物、思想・信条など、適性・能力に関係のない事項を作文の題材として把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています[4]。書く内容は、看護の仕事に関わる自分の経験と考えを中心にすれば十分です。
例文(書き方の見本)
テーマ「チーム医療における看護師の役割について、あなたの考えを述べなさい(600字)」の見本です。本論の経験の部分は、自分の経験に置き換えて使います。
チーム医療における看護師の役割は、患者さんの生活に最も近い立場から得た情報を、ほかの職種につなぐことだと考える。 患者さんの治療方針は医師が決め、薬は薬剤師が、食事は管理栄養士が、退院後の生活の準備は医療ソーシャルワーカーなどが支える。それぞれの専門職が力を発揮するには、患者さんが何に困り、どのように暮らしたいと考えているかという情報が欠かせない。看護師は、日々のケアや会話を通じて、検査の数値には表れない変化や本人の思いに気づきやすい立場にある。 (ここに自分の経験を2〜3文で書く。例:受け持った患者さんの退院が近づいたときに、自宅での生活への不安を聞き取り、カンファレンスで共有したことで、退院前の準備が進んだ経験など。誰のことか分からない書き方にする。) この経験から、気づいたことを記録し、カンファレンスや申し送りで具体的に伝えることが、チーム全体の判断を支えると学んだ。また、伝えるときには、自分の推測と、患者さんが実際に話した内容とを分けて伝えることを心がけている。 貴院に入職した後も、患者さんの声を丁寧に聞き取り、職種の違うスタッフに分かりやすく伝えることで、患者さんが望む生活に近づけるチーム医療の一員となりたい。
以上は書き方を示すための見本で、体験談ではありません。字数は経験の部分を入れて600字程度になるように調整してください。
練習はどう進める?
- テーマを3つ選ぶ — 看護観、チーム医療、入職後の目標など、上の例から応募先に合うものを選びます
- 時間を計って手書きで書く — 本番と同じ字数・時間・用紙(原稿用紙など)で書きます
- 読み直して直す — 問いに答えているか、具体例が1つにしぼれているか、患者さんが分かる情報がないかを確かめます。可能なら、信頼できる人に読んでもらいます
- 面接の準備と合わせる — 小論文に書いた考えを面接で聞かれることもあるので、志望動機と矛盾がないかを確かめておきます
面接でよく聞かれる質問と答え方は看護師の面接でよく聞かれる質問と答え方に、クリニックへ応募するときの志望動機の組み立て方は看護師のクリニックの志望動機にまとめています。応募先の病院・クリニックは、採用直行便の看護師向けページから公式採用ページを開いて探せます。採用試験の有無や内容は、各医療機関の採用ページで確かめてください。
参考資料(確認日 2026年10月24日)
- 公益社団法人日本看護協会「看護職の倫理綱領」(2021年3月15日) PDF
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」 ページ
- 保健師助産師看護師法 第42条の2(e-Gov法令検索) 法律
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」 ページ
よくある質問
小論文は何字くらい書けばいいですか?
指定の字数が上限です。超えないようにし、大きく足りない状態も避けます。書き方の目安として、指定字数の8〜9割以上を埋めるつもりで構成を考えると、内容が足りなくなりにくくなります。字数の数え方(句読点・改行の扱い)に指定があれば従います。
時間内に書き終わりません。
書き始める前に構成メモ(序論・本論・結論で何を書くか)を作り、本論の具体例を1つにしぼると、途中で迷う時間が減ります。練習では、実際の制限時間を計って最後まで書き、見直しの時間を残す練習をします。
例文を覚えて書いてもいいですか?
構成の型を覚えるのは役に立ちますが、例文をそのまま書くと、出題の問いに合わなかったり、面接で内容を聞かれたときに答えにくくなったりします。自分の経験と考えで書き直したものを準備しておきます。
患者さんとのエピソードを書いてもいいですか?
書けますが、誰のことか分からない書き方にします。氏名・イニシャル・年齢・病名の詳細・時期・施設名などは書きません。看護師には業務上知った人の秘密を漏らしてはならない守秘義務があります(保健師助産師看護師法第42条の2)。
家族や尊敬する人について書くように言われたら?
厚生労働省は、家族のことや尊敬する人物など、適性・能力に関係のない事項を作文の題材にして把握することは就職差別につながるおそれがあるとしています。看護の仕事に関わる自分の考えを中心に書けばよく、書きたくない家庭の事情まで書く必要はありません。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。