労働条件通知書の確認事項|2024年の改正点と違うとき・確認後に辞退する場合

公開 2026年10月24日・最終更新 2026年10月24日

結論:労働条件通知書は、内定後に働く条件を書面で確かめる最後の機会です。契約期間・就業場所と業務(2024年4月からは変更の範囲も)・勤務時間と休日・賃金・退職に関する事項は、法律で書面による明示が求められています。採用ページや面接で聞いた内容と違う点があれば、入職前に医療機関に確認します。

労働条件通知書とは?

書類に蛍光ペンで線を引く

労働条件通知書は、使用者(雇う側)が労働者に、賃金や労働時間などの労働条件を示す書面です。労働基準法第15条は、使用者が労働契約を結ぶときに労働条件を明示しなければならないと定め、そのうち賃金・労働時間など一部の事項は、厚生労働省令で定める方法(原則は書面の交付)で明示することとしています[1]。

名前は医療機関によって「労働条件通知書」「雇用契約書」「労働契約書」などさまざまです。名前にかかわらず、明示すべき事項が書かれているかを確かめます。厚生労働省はモデル労働条件通知書(様式の例)を公開しています[3]。

労働者が希望した場合は、書面の代わりにFAXや電子メールなどで受け取ることもできます(電子メールの場合は、出力して書面にできるものに限られます。同法施行規則第5条)[2]。

書面で必ず確認する事項は?

労働基準法施行規則第5条は、明示しなければならない労働条件を定めています。このうち、次の事項は書面で明示することになっています(昇給に関する事項を除く)[2]。

明示事項確かめたいこと
労働契約の期間期間の定めがないか、あるか。ある場合はいつからいつまでか
有期契約を更新する場合の基準更新の有無と判断の基準、更新の上限(通算期間・回数)の有無と内容
就業の場所・従事すべき業務最初の配属先と業務。変更の範囲(ほかの施設・部署への異動があり得るか)
始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇など所定の勤務時間、残業の有無、休憩時間、休日、交替制(シフト・夜勤)の内容
賃金の決定・計算・支払の方法、締切日・支払日基本給と手当の内訳、計算方法、締切日と支払日
退職に関する事項(解雇の事由を含む)退職の申し出の手続き、定年、解雇の事由

このほか、退職手当、賞与、食費や作業用品の負担、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰と制裁、休職の事項は、医療機関に定めがある場合に明示することとされています[2]。

2024年4月から何が追加された?

厚生労働省によると、2024年4月1日から労働条件明示のルールが変わり、次の事項が追加されました[3][4]。

  • 就業場所・業務の変更の範囲(すべての労働契約の締結時と、有期契約の更新時) — 雇い入れ直後の就業場所・業務に加え、将来の配置転換などで変わり得る範囲を明示します
  • 更新上限の有無と内容(有期契約の締結時と更新時) — 通算契約期間や更新回数の上限です。最初の契約より後に上限を新しく設けたり短くしたりする場合は、その理由をあらかじめ説明することも求められます
  • 無期転換申込機会と無期転換後の労働条件(無期転換申込権が発生する更新時) — 同じ使用者との有期契約が通算5年を超えるときに、労働者の申込みで期間の定めのない契約に転換できる制度(無期転換ルール)についての明示です

同じ時期に、職業安定法施行規則の改正により、求人の募集を行うときに示す事項にも、業務の変更の範囲・就業場所の変更の範囲・有期契約の更新の基準(上限を含む)が追加されています[5]。

医療法人などで複数の病院・クリニックを運営している場合、「就業場所の変更の範囲」に法人内のほかの施設が書かれていることがあります。異動の可能性を受け入れられるかどうか、通知書を受け取った段階で確かめておきます。

採用ページや面接の内容と違うときは?

書類とメモを見比べる

労働条件通知書を受け取ったら、採用ページ、面接で聞いた内容、自分のメモと並べて見比べます。違いに気づいたら、入職前に確認します。

  1. 違う点を整理する — どこに何と書かれていて、何と聞いていたか(採用ページは日付つきで画面を保存しておくと確かめやすくなります)
  2. 医療機関に確認する — 「通知書の○○について、面接では○○と伺っていたのですが、どちらが正しいでしょうか」と、責める言い方ではなく確認として尋ねます。やり取りはメールなど記録が残る方法がおすすめです
  3. 修正された内容を書面で受け取る — 口頭で「大丈夫です」と言われただけで終わらせず、修正した通知書を受け取ります
  4. 納得できなければ、入職を見送ることも選べる — 下の「内定後に辞退する場合」を参照してください

なお、職業安定法第5条の3第3項は、募集に応じた人と労働契約を結ぼうとする場合に、募集のときに示した業務の内容や賃金・労働時間などの労働条件を変更するときは、その変更内容を明示しなければならないと定めています[5]。条件の違いについて説明がないときは、遠慮せずに尋ねて構いません。

また、入職後に、明示された労働条件が事実と違っていた場合、労働者は即時に労働契約を解除できます(労働基準法第15条第2項)。就業のために住居を変えた労働者が、解除の日から14日以内に帰郷する場合は、使用者が必要な旅費を負担しなければなりません(同条第3項)[1]。

話し合いで解決しないときは、都道府県労働局や労働基準監督署に設けられた総合労働相談コーナーに相談できます。募集・採用を含む職場のトラブルを対象に、予約不要・無料で、求職者も利用できます[6]。

内定後に辞退する場合の連絡は?

条件を確かめた結果、入職しないと決めた場合は、決めた時点でできるだけ早く連絡します。医療機関は、入職日に合わせてシフトや研修、ユニフォームなどの準備を進めているためです。

  • 連絡の方法 — まず電話で採用担当者に伝え、そのあとメールでも送ると、伝わった記録が残ります。担当者が不在なら、かけ直す時間を聞きます
  • 伝える内容 — 内定へのお礼、辞退するという結論、おわび。理由は「条件を検討した結果」など簡潔で構いません
  • 受け取った書類 — 返送を求められた書類や貸与物があれば、指示に従って返します
【メールの書き方の見本】
件名:内定辞退のご連絡(氏名)

○○病院 採用ご担当 ○○様

お世話になっております。○月○日に内定のご連絡をいただきました○○です。
このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。

労働条件通知書の内容を拝見し、慎重に検討いたしました結果、
誠に勝手ながら、今回は内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。

ご期待に沿えず、また準備を進めていただいていたところ大変申し訳ございません。
本来であれば直接お伺いすべきところ、メールでのご連絡となりますことをお詫びいたします。

氏名:
電話番号:

内定や入職承諾のあとに辞退するときの考え方(法律上の扱い)は、医療機関との間で労働契約がすでに成立しているかどうかで変わります。厚生労働省のQ&Aでは、内定辞退は基本的に問題ないとしつつ、信義則に反するほど不誠実な場合には損害賠償を求められる可能性があるとしています[7]。迷ったら、早めに誠実に連絡することが大切です。

応募の前にできることは?

労働条件で後から迷わないためには、応募の前に採用ページで条件を読み、分からない点を面接や見学の場で確かめておくことが近道です。職種別の確かめ方は直接応募ガイドにまとめています。

参考資料(確認日 2026年10月22日)

  1. 労働基準法 第15条(e-Gov法令検索) 法律
  2. 労働基準法施行規則 第5条(e-Gov法令検索) 省令
  3. 厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」(モデル労働条件通知書・Q&Aへのリンクあり) ページ
  4. 厚生労働省リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」 PDF
  5. 厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」 ページ/職業安定法 第5条の3(e-Gov法令検索) 法律
  6. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 ページ
  7. 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点」 ページ

よくある質問

労働条件通知書は必ずもらえるものですか?

使用者は、労働契約を結ぶときに労働条件を明示しなければなりません。契約期間、就業の場所と業務、始業・終業の時刻や休日、賃金、退職に関する事項などは、原則として書面で明示することになっています(労働基準法第15条、同法施行規則第5条)。労働者が希望した場合は、FAXや電子メールなどで受け取ることもできます。

パートや非常勤でも労働条件通知書はもらえますか?

労働条件の明示は、雇用形態にかかわらず労働契約を結ぶときの決まりです。期間を定めた契約(有期契約)の場合は、契約の期間や、更新する場合の基準、更新の上限の有無と内容も明示事項に含まれます。

「就業場所・業務の変更の範囲」とは何ですか?

将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲のことです。2024年4月1日から、雇い入れ直後の就業場所・業務に加えて、この変更の範囲も明示することになりました。複数の施設を持つ法人では、ほかの施設へ異動する可能性があるかどうかを確かめる手がかりになります。

書かれた条件が実際と違っていたら?

労働基準法第15条第2項により、明示された労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に労働契約を解除できます。まずは違う点を書面やメールで医療機関に確認し、話し合いで解決しない場合は、都道府県労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナー(無料・予約不要)に相談できます。

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