転職の空白期間の健康保険は?数日・1週間・1か月の手続きと保険料の考え方
退職したら、健康保険はいつまで使える?

職場の健康保険の被保険者は、その事業所に使用されなくなった日の翌日に資格を失います(健康保険法第36条)[1]。つまり、使えるのは退職日までです。
資格を失った後に前の保険で受診すると、医療費を返すことになります。協会けんぽは、資格を喪失した後に使用(受診)した場合は医療費を全額返納することになると案内しています[2]。
空白期間があるときの3つの選択肢
退職後の健康保険は、「任意継続」「国民健康保険」「家族の健康保険(被扶養者)」の3つから選びます(協会けんぽの案内)[2][3]。
| 選択肢 | 期限 | 手続き先 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 国民健康保険 | 14日以内 | 住所地の市区町村 | ほかの健康保険に入っていないこと |
| 任意継続(前の職場の健康保険を個人で続ける) | 退職日の翌日から20日以内 | 前の健康保険(協会けんぽの場合は住所地の都道府県支部) | 退職日までに継続して2か月以上加入していたこと |
| 家族の健康保険の被扶養者 | 家族の勤務先の案内による | 家族の勤務先 | 収入などの扶養の条件を満たすこと |
国民健康保険(14日以内)
都道府県の区域内に住所がある人は、職場の健康保険の被保険者や被扶養者などを除き、国民健康保険の被保険者になります(国民健康保険法第5条・第6条)。資格を得るのは、職場の健康保険などに当てはまらなくなったその日です(同法第7条)[4]。届け出は世帯主が14日以内に市区町村へ出します(同法施行規則第3条)[5]。
大阪市は、就職・退職で健康保険が変わったら、マイナ保険証を持っている人も含めて14日以内に届け出るよう案内しています。手続きには、前の保険の資格喪失を証明する書類(会社や保険組合が発行する資格喪失証明書、またはマイナポータルの画面など)が必要です[6]。
任意継続(20日以内)
退職前の健康保険に、個人で最長2年間入り続ける制度です。資格を失った日から20日以内に申し出ます(健康保険法第37条)。加入できるのは、資格を失った日の前日まで継続して2か月以上被保険者だった人です(同法第3条第4項)[1]。協会けんぽでは、20日目が土日・祝日なら翌営業日まで、郵送は20日以内に必着です[2]。
保険料は、退職後は事業主の負担分も自分で払うため、原則として在職中の保険料の2倍になります(上限あり)[2]。次の職場の健康保険に入ったら資格を失うので、協会けんぽに資格喪失の申し出をします[2]。
家族の健康保険の被扶養者
家族が職場の健康保険に入っている場合、主にその家族の収入で生活しているなどの条件を満たせば、被扶養者になれます。被扶養者には保険料の負担はありません[2][7]。収入の条件などは家族が加入する健康保険で決まるため、家族の勤務先に問い合わせます。
空白が数日・1週間・1か月だと、どうなる?

空白が1日でもあれば、その期間はどれかの健康保険に入る必要があります。国民健康保険の資格は、職場の健康保険を抜けた日から法律上は自動的に発生し、届け出が遅れても加入日は変わりません[4]。
| 例 | 前の保険の資格がなくなる日 | 手続き |
|---|---|---|
| 3月31日退職 → 4月1日入職 | 4月1日 | 空白なし。手続き不要 |
| 3月25日退職 → 4月1日入職(数日) | 3月26日 | 3月26日〜31日の分の選択肢を手続き |
| 3月31日退職 → 4月8日入職(約1週間) | 4月1日 | 4月1日〜7日の分の選択肢を手続き |
| 3月31日退職 → 5月1日入職(1か月) | 4月1日 | 4月1日〜30日の分の選択肢を手続き |
入職した後は、新しい職場の健康保険に入ります。国民健康保険に入っていた人は、職場の健康保険に入ったことで国民健康保険の資格を失うため、14日以内に市区町村へ脱退の届け出をします(国民健康保険法施行規則第13条)[5]。大阪市は、国民健康保険をやめた後に届け出をせずに国民健康保険で受診した場合は、医療費を返還してもらうと案内しています[6]。
空白期間の保険料はどう考える?
保険料は月単位で計算されます。考え方は次のとおりです(金額は人によって違うため、ここでは書きません)。
- 職場の健康保険 — 前の月から続けて入っていた人が資格を失った月の保険料は、計算しません(健康保険法第156条第3項)[1]。月の途中で退職すると、退職した月の保険料は前の職場ではかかりません。月末に退職すると、資格を失うのは翌月1日なので、退職した月の分までかかります
- 国民健康保険 — 加入する事実(退職など)が発生した月からかかり、届け出が遅れるとさかのぼって納めます(名古屋市の案内)[8]。脱退した月の前月までを月割りで計算し、同じ月の中で加入と脱退をした場合は支払いがない例もあります(川崎市の案内)[9]。計算方法は市区町村ごとに確認してください
- 任意継続 — 加入した月から必要で、日割りはありません。資格を失った月の分は必要ありません(同じ月に加入と喪失があればその月は必要)[10]
- 被扶養者 — 保険料の負担はありません[2]
保険料を比べて選びたいときは、任意継続は前の健康保険に、国民健康保険は住所地の市区町村に、それぞれ見込み額を問い合わせます。
国民健康保険の届け出が14日を過ぎたら?
- 保険料 — 加入すべきときまでさかのぼって納めます(大阪市は最長2年間分)[6]
- 医療費 — 名古屋市は、14日の期限を過ぎると原則として届け出の日からしか保険給付がされず、届け出の前日までの医療費は全額自己負担になると案内しています[8]。大阪市も、やむを得ない理由なく遅れると給付が届け出日からになる場合があるとしています[6]
空白期間が短くても、受診の予定がなくても、気づいた時点で早めに手続きしてください。
マイナ保険証・資格確認書はどうなる?

- 受診のときに出すもの — 医療機関・薬局では、マイナ保険証を持っている人は「マイナ保険証」、持っていない人は「資格確認書」を提示します。従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終わりました[11][12]
- 転職しても登録し直しは不要 — 健康保険証利用の登録が済んでいれば、転職・退職・引っ越しで登録し直す必要はありません。ただし、新しく入る保険者への手続きは必要です[13]
- 反映には時間がかかる — 新しい資格情報がシステムに反映されるまで一定の期間がかかります[13]。大阪市も、マイナポータル等への反映に数日かかると案内しています[6]
- 資格確認書の返却 — 協会けんぽは、資格を失ったら速やかに資格確認書を返納するよう案内しています[2]
年金と住民票の手続きも忘れずに
空白期間があるときは、健康保険と同じく年金も、退職日の翌日から14日以内に市区町村で国民年金の手続きが必要です(日本年金機構)[14]。引っ越しを伴う転職なら、転入届(14日以内)も重なります。手続き全体の順番は転職と引っ越しの順番の記事にまとめています。
入職日を決めるときは、退職日との間を空けるかどうかで、ここまでの手続きが必要かどうかが変わります。応募先の採用ページで入職時期の相談ができるかを確かめ、直接応募の進め方は直接応募ガイドを参考にしてください。
参考資料(確認日 2026年10月22日)
- 健康保険法(e-Gov法令検索) 法律
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」 ページ
- 全国健康保険協会「退職後の健康保険について(よくあるご質問)」 ページ
- 国民健康保険法(e-Gov法令検索) 法律
- 国民健康保険法施行規則(e-Gov法令検索) 省令
- 大阪市「就職・退職に伴う国民健康保険の手続き」 ページ
- 全国健康保険協会「用語集(被扶養者)」 ページ
- 名古屋市「国民健康保険の加入・脱退」 ページ
- 川崎市「国民健康保険に月の途中で加入、脱退したときの保険料の支払いはどのようになりますか。」 ページ
- 全国健康保険協会「保険料について(任意継続のよくあるご質問)」 ページ
- 厚生労働省「資格確認方法について」 ページ
- 厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」 ページ
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問」 ページ
- 日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」 ページ
よくある質問
退職日と入職日の間が1日でも空いたら、国民健康保険に入る必要がありますか?
あります。職場の健康保険は退職日の翌日に資格を失い(健康保険法第36条)、ほかの健康保険に入っていない日は、法律上は国民健康保険の被保険者になります(国民健康保険法第5条〜第7条)。任意継続か家族の被扶養者を選ばない場合は、14日以内に市区町村へ加入の届け出をします。
月末に退職して翌月1日に入職するときは?
空白期間はありません。退職日の翌日(1日)に前の健康保険の資格を失い、同じ日に新しい職場の健康保険に入るため、国民健康保険などの手続きは要りません。
空白期間が同じ月の中だけなら、国民健康保険料はかかりますか?
国民健康保険料は月割りで、加入した月から、脱退した月の前月までを計算するのが一般的です。川崎市の例では、7月15日に加入し7月25日に脱退した場合、保険料の支払いはないと案内しています。計算方法は市区町村の案内で確認してください。
空白期間に前の職場の保険(マイナ保険証の登録先)で受診したら?
資格を失った後に前の保険で受診すると、医療費を返すことになります(協会けんぽの案内)。空白期間は国民健康保険・任意継続・家族の被扶養者のいずれかに入り、その資格で受診します。
マイナ保険証は転職のたびに登録し直すのですか?
健康保険証利用の登録が済んでいれば、転職や退職で登録し直す必要はありません。ただし、新しく入る保険者への手続きは必要で、新しい資格情報がシステムに反映されるまで一定の期間がかかります(厚生労働省のよくある質問)。
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