退職・転職した年の住民税はどうなる?一括徴収と普通徴収の違い・払えないときの相談
退職・転職すると住民税はどうなる?

個人住民税(市区町村民税と都道府県民税)は、1月1日に住所がある市区町村が課税します[1][2]。所得に応じた部分(所得割)は、前の年の所得をもとに計算されます[3]。
会社員などの給与所得者は、勤務先が6月から翌年5月までの12回に分けて給与から差し引き、市区町村に納めます。これを特別徴収といいます。それ以外の人は、市区町村から届く納税通知書で納めます。これを普通徴収といいます[1][3]。
- 退職しても前の年の分は残る — 今年の6月から差し引かれているのは前の年の所得に対する住民税です。退職して給与がなくなっても、残りの分は納める必要があります
- 翌年の6月以降も続く — 退職した年の所得に対する住民税は、翌年度に課税されます。次の職場が決まっていない時期にも納付書が届くことがあります
- 退職金の住民税は別 — 退職金にかかる住民税は他の所得と分けて計算され、通常は退職金を受け取るときに差し引かれます[3]
住民税の住所の考え方は、住民票を移さないとどうなる?でも触れています。
退職した時期で何が変わる?(1〜5月/6〜12月)
給与から差し引けなくなった残りの住民税の納め方は、地方税法第321条の5で決まっています[1]。東京都主税局と横浜市の案内をまとめると次のとおりです[4][5]。
| 退職した時期 | 残りの住民税の納め方 |
|---|---|
| 6月1日〜12月31日 | 原則は普通徴収に切り替わり、本人が納付書などで納める。本人が申し出れば、最後の給与や退職金から一括して差し引くこともできる |
| 1月1日〜4月30日 | 5月31日までに支払われる給与や退職金が残りの税額を超える場合は、本人の申し出がなくても一括して差し引く |
| 5月 | 最終月の分として、通常どおり給与から差し引く(東京都主税局の案内) |
一括で差し引かれるのは、退職した月の翌月から5月までの毎月の額です(同条第2項)[1]。たとえば1月に退職すると、2月〜5月の4か月分がまとめて差し引かれます。給与明細の金額が普段より大きく見えるのはこのためです。
最後の給与や退職金が残りの税額に満たない場合は、一括で差し引かず、普通徴収になります[6]。どの方法になったかは、最後の給与明細と、後から届く市区町村の通知で確かめてください。
すぐ転職するなら、転職先で天引きを続けられる?
続けられます。前の勤務先から給与を受けなくなった月の翌月10日まで(4月中に給与を受けなくなった場合は4月30日まで)に、新しい勤務先を通じて申し出ると、新しい勤務先が残りの住民税を給与から差し引きます(地方税法第321条の4第5項)[1]。
使う書類は「給与所得者異動届出書」です。横浜市の案内では、異動前の勤務先が「給与支払者」欄を、異動後の勤務先が「新しい勤務先」欄を書き、異動後の勤務先から提出します[7]。江東区も、旧勤務先から新勤務先を経由して提出するよう案内しています[6]。書類を出すのは勤務先ですが、本人が両方の勤務先に「続けたい」と伝えないと進みません。
- 新しい勤務先が決まっていないとき — 横浜市は、新しい勤務先が不明な場合は普通徴収への切り替えの手続きをするよう案内しています[7]
- 普通徴収になった後でも — 新しい勤務先に申し出て、給与からの差し引きに切り替えられます。ただし東京都主税局の案内では、納期限が過ぎた分と前の年度の分は切り替えられません[4]
- 届出の期限 — 勤務先は、退職などの翌月10日までに市区町村へ異動届を出します[4][6]。様式や提出方法は市区町村ごとに違います
二重に差し引かれているように見えるときは、前後の給与明細と市区町村からの通知を並べ、前の勤務先・新しい勤務先・市区町村のいずれかに確認してください。
退職後の空白期間に納付書が届いたら?

給与から差し引けなくなった分は、その後に来る普通徴収の納期に振り分けて納めます。残っている納期がなければ、ただちに普通徴収で納めます(地方税法第321条の7)[1]。横浜市の場合、勤務先が異動届を出したあと、区役所から本人あてに納付書が送られます[5]。
普通徴収の納期は、原則として6月・8月・10月・翌年1月の中で市区町村の条例が定めます(地方税法第320条)[1]。具体的な納期限と金額は、届いた納税通知書で確認してください。
- 納期限を過ぎると — 延滞金がかかります(地方税法第326条)[1]。督促のあとは財産の差押えをすることがある、と案内している自治体もあります(新宿区)[8]
- 健康保険・年金と時期が重なる — 空白期間があると、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いも同じ時期に始まります。手続きは空白期間の健康保険と空白期間の年金の記事にまとめています
退職後に住民税が払えないときは?
まず、納期限が来る前にお住まいの市区町村の税務担当に相談してください。地方税法には次のような仕組みがあり、詳しい条件や運用は市区町村ごとに違います。
- 徴収の猶予 — 災害、病気、事業の休廃止などで一度に納められないときに、申請により1年以内に限り猶予される場合があります(地方税法第15条)[1][8]
- 分割での納付 — 新宿区の案内では、猶予が認められた場合、原則として各月に分けて納めます[8]。新宿区のように、納付が難しいときの相談窓口(電話相談を含む)を案内している自治体もあります
- 減免 — 市区町村が条例で定める場合に、税額が減額・免除されることがあります(地方税法第323条)[1]
減免の対象は自治体によってかなり違います。横浜市は、災害や生活保護のほか、前年の所得が一定額以下で失業などにより所得がない場合や大きく減った場合を対象に含めています。ただし、ここでいう失業には自己都合や期間満了による退職は含まれません[9]。新宿区や長野市は、生活保護を受けている人や災害の被害を受けた人などを対象として挙げています[10][11]。
横浜市・新宿区・長野市はいずれも、納期限を過ぎた分(長野市・横浜市は納付済みの分も)は減免の対象外としています[9][10][11]。対象になるかどうかは個別の審査で決まるため、お住まいの市区町村で確認してください。
転職前後の家計を見直したいときは?
退職から入職までの間は、住民税の納付書に加えて健康保険・年金の支払いも重なりやすく、手取りが一時的に減ることがあります。住民税の税額や減免の判断は市区町村が行うので、まずそちらに確認します。そのうえで、毎月の支出や貯蓄の配分を見直したい人は、家計の相談サービスを使う方法もあります。
ふるさと納税や確定申告をしている人は?
- 年内に再就職しなかった — 年末調整を受けられないため、所得税を納めすぎている場合があります。翌年に確定申告(還付申告)をすると還付を受けられ、翌年以降5年以内に申告できます[14]。所得税の確定申告をすると、原則として住民税の申告もしたものとみなされます(地方税法第317条の3)[1]
- ワンストップ特例を申請していた — ワンストップ特例は、確定申告が不要な給与所得者などで、寄附先が5団体以内の場合に使える仕組みです。確定申告をする人は、ふるさと納税の分も確定申告に含める必要があります[12][13]
- 引っ越した — ワンストップ特例の申請後に住所などが変わったら、寄附した翌年の1月10日までに、寄附先の自治体へ変更届出書を出します[13]
- 控除はどこに出る? — ワンストップ特例では所得税からは控除されず、翌年度の住民税から全額が控除されます[12]
退職前後のほかの手続き(源泉徴収票・離職票など)は、退職後の手続き一覧にまとめています。
医療機関に転職するとき、住民税はどう伝える?

病院・クリニックに転職するときも、手続きの流れは同じです。入職の書類をそろえる段階で、人事・総務の担当者に次の3点を伝えると、話が早く進みます。
- 前の職場での徴収方法 — 給与から差し引かれていたか、自分で納めていたか
- 転職先で差し引きを続けたいか — 続けたい場合は、前の勤務先が書いた給与所得者異動届出書を新しい勤務先から出してもらう
- 手元に納付書があるか — 普通徴収の納付書が届いていれば、特別徴収に切り替えられるか相談する(納期限が過ぎた分は自分で納める)
また、年内に転職した場合は、新しい勤務先が前の職場の給与も含めて年末調整をします。金額は前の職場の源泉徴収票などで確認するので、受け取ったら保管しておきましょう[15]。退職の伝え方や時期は看護師の退職の伝え方、直接応募の進め方は直接応募ガイドを参考にしてください。採用直行便では、市区町村や駅から病院・クリニックの公式採用ページを探せます。入職日や手続きの進め方は、応募先の採用ページや面接で直接確かめてください。
参考資料(確認日 2026年10月23日)
- 地方税法(e-Gov法令検索)第15条・第317条の3・第318条・第320条・第321条の3・第321条の4・第321条の5・第321条の7・第323条・第326条 法律
- 総務省「個人住民税」 ページ
- 東京都主税局「個人住民税」 ページ
- 東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて(個人住民税の特別徴収推進ステーション)」 ページ
- 横浜市「現在、個人住民税が特別徴収されている従業員が退職した場合、どのような手続が必要ですか。」 ページ
- 江東区「給与からの特別徴収」 ページ
- 横浜市「現在、個人住民税が特別徴収されている従業員が、転勤先または再就職先で引き続き特別徴収を希望する場合、どのような手続が必要ですか。」 ページ
- 新宿区「納付が困難なとき」 ページ
- 横浜市「個人市民税・県民税・森林環境税の納税が困難な方へ」 ページ
- 新宿区「住民税等の減免について」 ページ
- 長野市「個人市民税・県民税(住民税)の減免」 ページ
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」 ページ
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「制度改正について(2015年4月1日)」 ページ
- 国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」 ページ
- 国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」 ページ
よくある質問
退職したのに住民税の納付書が届きました。払う必要がありますか?
住民税は前の年の所得に対してかかるため、退職後も納める必要があります。給与から差し引けなくなった残りの分は、市区町村から届く納税通知書(納付書)で本人が納めます(普通徴収)。納期限を過ぎると延滞金がかかるため、払うのが難しいときは納期限までに市区町村に相談してください。
3月に退職して4月に入職します。住民税はどうなりますか?
1月1日〜4月30日に退職した場合、5月31日までに支払われる給与や退職金が残りの税額を超えるときは、本人の申し出がなくても最後の給与などから一括して差し引かれます。転職先で給与からの差し引きを続けることを申し出る方法もあるので、前の勤務先と新しい勤務先の両方に確認してください。
転職先に住民税の納付書を渡せば、給与からの差し引きに切り替えられますか?
普通徴収から特別徴収(給与からの差し引き)への切り替えを申し出ることができます。ただし、東京都主税局の案内では、納期限が過ぎた分や前の年度の分は切り替えられません。届いた納付書を持って、入職時に人事・総務の担当者に相談してください。
仕事を辞めて収入がないと、住民税は免除されますか?
自動的には免除されません。減免は市区町村の条例で定められ、対象は自治体によって違います。たとえば横浜市は、前年の所得が一定額以下で失業などにより所得がない場合も対象に含めていますが、自己都合や期間満了による退職は除くとしています。申請は納期限までに必要で、お住まいの市区町村で確認してください。
ふるさと納税のワンストップ特例を申請した年に退職しました。確定申告は必要ですか?
年内に再就職せず確定申告(還付申告)をする場合など、確定申告をする人は、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告に含める必要があります(総務省)。ワンストップ特例の申請だけでは控除されません。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。