看護師の退職の伝え方|いつ・誰に・どう言う?退職理由と有給・書類の確認

公開 2026年10月25日・最終更新 2026年10月25日

結論:退職は、①就業規則で申し出の時期を確認し、②直属の上司に口頭で、③退職の意思と希望する退職日をはっきり伝え、④退職届で記録を残す、の順で進めます。法律上、期間の定めのない雇用は申し入れから2週間で終了しますが、就業規則の時期に合わせて早めに伝えると円満に進みます。残っている有給休暇は退職前に使えます。退職時は離職票・源泉徴収票などの書類を受け取ります。

退職はいつまでに伝える?

カレンダーに印をつける

最初に確認するのは、今の職場の就業規則です。常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作り、そこには「退職に関する事項」を定めることになっています(労働基準法第89条)[1]。就業規則には、「退職は○日前(○か月前)までに申し出る」のような定めが置かれていることがあります。

法律上のルールは次のとおりです。

  • 期間の定めのない雇用(正職員など) — 労働者はいつでも退職の申し入れができ、申し入れの日から2週間がたつと雇用は終了します(民法第627条)[2]。厚生労働省のサイトは、会社が退職を認めないと言っても、この原則は変わらないとしています[3]
  • 就業規則で「1か月前まで」などと定めている場合 — 社会通念上著しく長くない期間であれば、トラブル防止のため、まず就業規則に沿って申し出るのがよいとされています[4]
  • 期間の定めのある雇用(契約職員など) — 契約期間の途中で辞めるには「やむを得ない事由」が必要です(民法第628条)。ただし契約期間が1年を超える場合は、1年がたった後はいつでも退職できるとされています[2][3]

看護師の職場は勤務表(シフト)で動いているため、伝えるのが遅いほど調整が難しくなります。法律上の最短の期間ではなく、就業規則の期間と引き継ぎに必要な期間から逆算して、余裕をもって伝えるのが円満に辞めるこつです。

誰に、どの順番で伝える?

  1. 直属の上司に口頭で — 病院なら所属部署の看護師長など、クリニックなら院長や看護師のまとめ役など、勤務を管理している人に、最初に伝えます。「ご相談したいことがあるので、お時間をいただけますか」と、落ち着いて話せる時間をとってもらいます
  2. 退職日を相談して決める — 希望する退職日を伝え、引き継ぎや有給休暇の消化も含めて日程を詰めます
  3. 退職届を出す — 職場の決まった様式があればそれを使います。厚生労働省のサイトは、退職日を確実に決めたい場合は、退職の意思を明確に書いた「退職届」を、必要な期間を見込んで提出するのが無難だとしています[3]
  4. 同僚に伝える — 上司と相談し、退職が正式に決まってから伝えます。上司より先に同僚に話すと、うわさで伝わってしまうことがあります

次の職場が決まる前に伝えるか、決まってから伝えるかは人によります。どちらの場合も、上司との面談の前に「希望の退職日」「最終出勤日の目安」「残っている有給休暇の日数」をメモしておくと、話がまとまりやすくなります。

退職理由はどう伝える?

退職理由を細かく説明する義務はありませんが、勤務の調整や後任の手配のために、上司から理由を聞かれることもあります。うそはつかず、短く、前向きに伝えるのが基本です。職場への不満が理由でも、それを並べるより「これからしたいこと」の形にすると、引き止めや話のこじれを防げます。

伝え方の例(見本)

お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。
一身上の都合で、○月○日付で退職させていただきたいと考えております。
外来で患者さんに継続して関わる看護に取り組みたいと考え、次の職場で挑戦することを決めました。
就業規則に沿って早めにお伝えしたく、ご相談いたしました。引き継ぎは最後まで責任をもって行います。
家庭の事情で、勤務時間を短くできる働き方に変える必要があり、○月末で退職させていただきたいと考えております。
勤務表の作成に影響が出ないよう、早めにご相談しました。退職までの勤務と引き継ぎについてご相談させてください。

上の文は伝え方の見本です。自分の事情に合わせて言い換えてください。

引き止められたらどうする?

人手が足りない職場では、引き止められることがあります。次の点を意識すると、話が長引きにくくなります。

  • 「相談」ではなく「決めたこと」として伝える — 迷っている様子を見せると、条件の提示などで話が続きます
  • 退職日をはっきりさせる — 「いずれ」ではなく、希望する日付を伝えます
  • 感謝と引き継ぎの意思を伝える — 辞めることと、最後まで責任をもつことは両立します
  • 書面で残す — 口頭で話が進まないときは、退職届を出し、提出した日を記録しておきます

「後任が見つかるまで待ってほしい」と言われても、期間の定めのない雇用であれば、法律上は申し入れから2週間で退職が成立します[2][4]。それでも話し合いで解決しないときは、都道府県労働局や労働基準監督署などにある総合労働相談コーナーに相談できます。労働者・事業主どちらの相談も受け付けており、予約不要・無料です[5]。

有給休暇は退職前に使える?

年次有給休暇は、雇い入れの日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に与えられる休暇です(最初は10労働日。勤続年数に応じて増え、週の所定労働日数が少ないパートなどは日数が比例して決まります。労働基準法第39条)[1][6]。

使用者には、請求された時期に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合に、時期を変えてもらう「時季変更権」があります。ただし厚生労働省のサイトは、退職によって年休の権利は消えるため、使用者は時季変更権を行使できず、残っている年休の取得を認めるほかないと説明しています[6]。とはいえ、引き継ぎの途中で急に休むと職場が困ります。残りの日数を確認し、引き継ぎの予定と合わせて早めに上司と相談します。

引き継ぎはどう進める?

引き継ぎノートを書く
  • 担当している業務・委員会・係の一覧を作り、誰に引き継ぐかを上司と決める
  • 自分だけが知っている手順や連絡先を、メモやマニュアルにまとめる
  • 受け持ちの患者さんの情報は、職場の決まった方法(記録・申し送り)で引き継ぐ
  • 最終出勤日の前に、引き継ぎ漏れがないか上司と確認する
  • 制服・名札・鍵・ロッカーなど、職場から借りている物を返す(返し方は職場の案内に従う)

退職するときに受け取る書類は?

受け取った書類の封筒
  • 離職票(雇用保険被保険者離職票-1・-2) — 雇用保険の基本手当の手続きに必要です[7]。勤務先は、退職で資格を失った日の翌日から10日以内に、ハローワークへ資格喪失の届出をします。退職者が離職票を希望しない場合は発行の手続きをしなくてよいとされているため(59歳以上の人を除く)、必要な人は退職前に伝えておきます(雇用保険法施行規則第7条)[8]
  • 源泉徴収票 — 年の途中で退職した人には、勤務先が退職の日以後1か月以内に交付することになっています(所得税法第226条)[9]。次の職場での年末調整や、確定申告で使います
  • 退職証明書(請求した場合) — 使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由について証明書を請求すると、使用者は遅滞なく交付しなければなりません(労働基準法第22条)[1]。次の職場から求められたときなどに使います

未払いの賃金や、預けていたお金などがある場合、退職者が請求すれば、使用者は7日以内に支払い・返還しなければならないとされています(労働基準法第23条)[1]。

退職した後の手続きは?

次の職場に入るまでに空白の期間がある場合は、健康保険と年金の手続きが必要です。

  • 健康保険 — 今の健康保険の任意継続を選ぶ場合は、退職日の翌日から20日以内に手続きします(退職日までに継続して2か月以上加入していたことが条件。協会けんぽの場合)[10]。国民健康保険に入る場合は、14日以内に市区町村へ届け出ます(国民健康保険法施行規則第3条)[11]
  • 年金 — 20歳以上60歳未満で厚生年金から抜ける人は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村で国民年金の手続きをします(配偶者の扶養に入る第3号被保険者の手続きは、配偶者の勤務先を通じて行います)[12]
  • ナースセンターへの届出 — 看護職が病院等を離職したときは、住所・氏名などを都道府県ナースセンターに届け出るよう努めることとされています(看護師等の人材確保の促進に関する法律第16条の3。努力義務)。届出は「とどけるん」から行えます[13]

転職に合わせて引っ越す場合は、看護師が引っ越すときの手続きと転職と引っ越しの順番の記事にまとめています。

次の職場を探すなら

採用直行便では、病院・クリニックの公式採用ページを市区町村ごとに一覧で見られます。看護師向けページから都道府県を選ぶか、地図で探してください。看護師の募集があるか、募集の条件は、必ず各医療機関の採用ページで確認してください。

参考資料(確認日 2026年10月22日)

  1. 労働基準法 第22条・第23条・第39条・第89条(e-Gov法令検索) 法律
  2. 民法 第627条・第628条(e-Gov法令検索) 法律
  3. 厚生労働省「確かめよう労働条件 — 退職、解雇、雇止めなど」 ページ
  4. 茨城労働局「よくあるご質問(やめたいのにダメと言われて困っている)」 ページ
  5. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 ページ
  6. 厚生労働省「確かめよう労働条件 — 年次有給休暇」 ページ
  7. ハローワークインターネットサービス「基本手当の受給手続き」 ページ
  8. 雇用保険法施行規則 第7条(e-Gov法令検索) 省令
  9. 所得税法 第226条(e-Gov法令検索) 法律
  10. 全国健康保険協会「任意継続」 ページ
  11. 国民健康保険法施行規則 第3条(e-Gov法令検索) 省令
  12. 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」 ページ
  13. 看護師等の人材確保の促進に関する法律 第16条の3(e-Gov法令検索) 法律/厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」 ページ

よくある質問

退職は何か月前に伝えればいいですか?

まず職場の就業規則を確認します。法律上、期間の定めのない雇用は、退職の申し入れから2週間で終了します(民法第627条)。ただし就業規則に「1か月前まで」などの定めがある場合は、トラブルを避けるため、その時期に合わせて申し出るのがよいとされています。引き継ぎや勤務表の調整を考えると、余裕をもって伝えるほうが円満に進みます。

「後任が見つかるまで辞められない」と言われました。

期間の定めのない雇用であれば、法律上は申し入れから2週間で退職が成立します(民法第627条)。退職日と退職の意思をはっきり伝え、退職届を出して記録を残します。話し合いで解決しないときは、都道府県労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナー(無料・予約不要)に相談できます。

残っている有給休暇は退職前に使えますか?

使えます。厚生労働省のサイトでは、退職によって年次有給休暇の権利はなくなるため、使用者は時季変更権(時期をずらしてもらう権利)を行使できず、残っている年休の取得を認めるほかないと説明しています。引き継ぎの期間と合わせて、早めに上司と日程を相談してください。

離職票は全員に届きますか?

退職者が離職票の交付を希望しない場合、勤務先は離職票のもとになる書類を出さなくてよいとされています(59歳以上の人を除く。雇用保険法施行規則第7条)。雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の手続きには離職票が必要なので、次の職場が決まっていない人は、退職前に「離職票がほしい」と勤務先に伝えておきます。

次の職場は、公式採用ページから直接応募

採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。

看護師向け:都道府県から探す 地図・駅から探す 直接応募の進め方

この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。

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