育休・産休の前後で転職するときの注意点|すぐ育休は取れる?給付金の条件

公開 2026年10月30日・最終更新 2026年10月30日

結論:転職してすぐの育休は、法律上は申し出られますが、勤務先が労使協定で「勤続1年未満」を対象外にしていると取れません。育児休業給付金は、休業前2年間に11日以上働いた月が12か月以上必要で、前の職場の期間は条件付きで通算できます。産休(産前産後休業)と出産手当金には勤続期間の条件がありません。育休を取ってそのまま辞める予定がある場合は給付の対象外になるので、転職の時期は制度の条件と転職先の労使協定を確かめてから決めます。

転職してすぐ育休は取れる?

マタニティの女性の手元とノート

育児休業は、1歳に満たない子を育てる労働者が事業主に申し出て取る休業です(育児・介護休業法第5条)[1]。事業主は原則として申出を拒めませんが、労使協定(事業所の過半数労働組合、ない場合は過半数代表者との書面の協定)で定めた次の人からの申出は拒めます(同法第6条、同法施行規則第8条)[1][2][3]。

  • その事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない人
  • 申出の日から1年以内(1歳以降の延長の場合は6か月以内)に雇用関係が終わることが明らかな人
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の人

つまり、勤続1年未満でも取れるかどうかは、転職先に労使協定があるかで変わります。協定で対象外とされた人は、育児休業をすることができません(同法第6条第2項)[1]。

有期雇用(契約職員・パート)の場合

2022年4月1日から、有期雇用の人の「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件はなくなりました。いまの条件は、子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新後のものを含む)が満了することが明らかでないことです[1][3]。勤続1年未満の人を労使協定で除外できる点は、無期雇用の人と同じです[3]。

育児休業給付金は転職後でももらえる?

育児休業給付金は雇用保険の給付で、勤務先の育休制度とは別に条件があります。申請先は事業所の所在地を管轄するハローワークです[4][5]。

  • 被保険者期間 — 休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎になった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること[5]
  • 休業中の就業 — 1か月ごとの支給単位期間の就業が10日(10日を超える場合は80時間)以下であること[5]
  • 有期雇用の人 — 子が1歳6か月に達する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと[5]

支給額は、休業開始時の賃金日額 × 支給日数 × 67%(育児休業の開始から181日目以降は50%)で、上限額と下限額があります[5]。両親がともに子の出生直後に一定期間育児休業を取ると、「出生後休業支援給付金」を最大28日間受けられる場合もあります[5]。

前の職場の期間は通算できる?

厚生労働省のサイトでは、前の職場の雇用保険の期間は、次の両方に当てはまるとき通算できると説明しています[7]。

  1. 前の職場の離職日から1年以内に再就職している
  2. 前の職場の離職について、失業手当(基本手当)の受給資格の決定を受けていない

パンフレットでも、過去に基本手当の受給資格の決定を受けたことがある場合は、それ以降の期間に限るとされています[5]。転職の間に失業手当の手続きをすると、それより前の期間は数えられなくなる点に注意します。当てはまらなくても例外的に受給資格を得られる場合があるため、通算できるかは勤務先を管轄するハローワークで確認するよう案内されています[7]。

産休中は給与が出ないため、11日以上の月として数えられるのは産休に入る前の月です[7]。転職してから産休までの期間が短いと、前の職場の期間を足しても12か月に届かないことがあります。

産休(産前産後休業)は入社直後でも取れる?

取れます。産前産後休業は労働基準法の休業で、勤続期間の条件はありません[8]。

  • 産前 — 出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から、請求すれば働かせてはいけない(第65条第1項)
  • 産後 — 産後8週間は働かせてはいけない。産後6週間を過ぎ、本人が請求し医師が支障ないと認めた業務は可(同条第2項)
  • 軽易な業務への転換 — 妊娠中の人が請求したら、他の軽易な業務に転換させなければならない(同条第3項)
  • 解雇の制限 — 産前産後休業の期間とその後30日間は解雇してはならない(第19条)

夜勤のある看護職の場合、妊娠中の夜勤や時間外労働の扱いは、勤務先の制度とあわせて確認します。夜勤のない働き方は看護師が夜勤なしで働くには?にまとめています。

健康保険の保険料は、産前産後休業中と育児休業等の期間中、事業主が保険者に申し出れば徴収されません(健康保険法第159条・第159条の3。育児休業等は期間などの条件あり)[10]。この仕組みにも勤続期間の条件はありません。

出産手当金は転職後でも受けられる?

母子手帳とカレンダー

出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために仕事を休み、給与を受けなかったときの給付です。期間は出産の日(予定日より後の出産は予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の翌日以後56日目までで、休んだ日が対象です[9][10]。在職中の被保険者であれば、加入期間の長さの条件はありません。

  • 1日あたりの額 — 支給開始日以前の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3。加入期間が12か月に満たない場合は、その期間の平均と全被保険者の平均(支給開始日が2025年4月1日以降は32万円)の低いほうで計算します(協会けんぽ)[9]
  • 退職後も受けるには — 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間(任意継続を除く)があり、退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態であること。退職日に出勤すると対象外です[9]
  • 任意継続の期間中の出産 — 出産手当金は支給されません[12]

健康保険組合に入っている場合は、組合の案内もあわせて確認します。

育休中・育休明けに辞めて転職するときの注意点は?

育児休業給付は、育児休業が終わったあとの職場復帰を前提とした給付です。厚生労働省のQ&Aでは次のように説明しています[6]。

  • 育児休業の当初から退職を予定しているなら、育児休業給付と出生後休業支援給付金の対象になりません
  • 受給資格の確認の後に退職することになった場合は対象になり、支給対象期間中に退職したときは退職日まで支給されます(2025年4月1日以後に退職した人)
  • 受給資格の確認の時点で退職が予定されていた場合を除き、それまでに受け取った給付金を返す必要はありません

育児休業給付金を受けた期間は、のちに失業手当(基本手当)の所定給付日数を決める期間から除いて数えます[5]。退職後すぐに働けない場合は、失業手当の受給期間を延長できます(妊娠・出産・育児などで30日以上働けないとき、最長3年)[13]。

今の職場では、妊娠・出産や産休を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは禁止されています(男女雇用機会均等法第9条第3項)[11]。退職を伝える時期や伝え方は看護師の退職の伝え方も参考にしてください。

妊娠中に転職活動をするときは何を考える?

妊娠中の転職では、入職日から産休に入るまでの期間が、制度の条件に直接かかわります。次の3点を並べて考えると判断しやすくなります。

  1. 今の職場で取れる制度 — 今の職場の勤続期間で育休と給付金の条件を満たすなら、復帰してから転職する選択肢もあります(育休を取ってそのまま辞める予定では給付の対象外)
  2. 転職先で取れる制度 — 労使協定で勤続1年未満が除外されていないか。給付金の12か月を前の職場と通算できるか
  3. 空白期間の有無 — 退職から入職まで空くと、その間は健康保険・雇用保険の被保険者ではなくなります。失業手当の手続きをすると、育児休業給付金の期間の通算に影響します

出産予定日、入職予定日、産休開始予定日をカレンダーに書き、各制度の条件に当てはめてから応募先と入職日を相談すると、あとから困りにくくなります。

転職先で確認することは?

  • 労使協定・就業規則 — 勤続1年未満の人を育児休業の対象外にしているか(産後パパ育休も、労使協定で勤続1年未満の人などを対象外にできます[3])
  • 雇用形態と契約期間 — 有期雇用なら契約期間と更新の有無(労働条件通知書で確認)
  • 社会保険 — 健康保険・厚生年金・雇用保険に入職日から加入するか。健康保険は協会けんぽか健康保険組合か
  • 復帰後の働き方 — 短時間勤務、夜勤・残業の免除、院内保育の有無など(看護師の小1の壁)

面接で聞きにくいときは、採用ページの福利厚生欄で確かめてから、質問の形にして聞くとよいでしょう(看護師の面接の逆質問)。

休業中の家計を見直したいときは?

育児休業給付金は休業開始時の賃金の67%(181日目以降は50%)で、上限もあります[5]。住民税は前年の所得に対してかかるため、休業中も払うことになります(退職・転職した年の住民税)。給付額の見込みはハローワークや勤務先で確認したうえで、休業中の支出の配分を整理したい人は、家計の相談サービスを使う方法もあります[14]。

公式採用ページで制度を確かめる

育休の取得実績や院内保育、短時間勤務の制度は、病院・クリニックの採用ページに書かれていることがあります。採用直行便の看護師向けページでは、地域の病院・クリニックの公式採用ページを一覧で見られます。直接応募の進め方は看護師の直接応募ガイドにまとめています。

参考資料(確認日 2026年10月24日)

  1. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第5条・第6条(e-Gov法令検索) 法律
  2. 同法施行規則 第8条(e-Gov法令検索) 施行規則
  3. 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)」 PDF
  4. 厚生労働省「育児休業等給付について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
  5. 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)」 PDF
  6. 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~(令和8年8月版)」Q50・Q51 PDF
  7. 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「4月1日に転職したが、先日妊娠していることが判明。育児休業給付金の受給対象になる?」 https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/senmon/senmon25.html
  8. 労働基準法 第19条・第65条(e-Gov法令検索) 法律
  9. 全国健康保険協会「出産手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/childbirth/001/index.html
  10. 健康保険法 第102条・第104条・第159条・第159条の3(e-Gov法令検索) 法律
  11. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第9条(e-Gov法令検索) 法律
  12. 全国健康保険協会「任意継続」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/voluntary_continuation/index.html
  13. ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
  14. All About家計相談所(株式会社オールアバウト) https://allabout.co.jp/product/105972/money-plan.html

よくある質問

転職してすぐでも育休は取れますか?

法律上は、無期雇用の人なら入社してすぐでも申し出られます。ただし、勤務先が労使協定で「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者」を対象外と定めていると、申出を断られることがあります。有期雇用の人は、子が1歳6か月になるまでに契約が満了することが明らかでないことが条件です。

転職して1年未満でも育児休業給付金はもらえますか?

給付金は、育児休業を始める前の2年間に、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上(または80時間以上)の月が12か月以上あることが条件です。前の職場の期間も、離職から1年以内に再就職していて、その離職で失業手当の受給資格の決定を受けていなければ通算できるとされています。通算できるかは勤務先を管轄するハローワークで確認します。

入社してすぐ産休に入ることはできますか?

産前産後休業は労働基準法第65条の休業で、勤続期間の条件はありません。出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から請求すれば休め、産後8週間は原則として働けません。

育休中に今の職場を辞めて転職したら、給付金は返すことになりますか?

厚生労働省のQ&Aでは、受給資格の確認の時点で退職が予定されていた場合を除き、それまでに受け取った育児休業給付を返す必要はないとされています。ただし、育児休業の当初から退職を予定しているなら、育児休業給付の対象になりません。

退職後でも出産手当金はもらえますか?

協会けんぽでは、退職日までに継続して1年以上被保険者期間(任意継続の期間を除く)があり、退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態であれば、退職後も受けられます。退職日に出勤すると対象外になります。任意継続の期間中の出産は出産手当金の対象外です。

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