医師の転職時期はいつがいい?4月入職の逆算、退職の申し出と専門研修・手続きの時期
医師の転職は4月入職を目指すべき?

決まりはありません。年度の途中でも転職はできます。ただ、医師の場合は次の理由で、年度替わりの4月を一つの区切りとして考えることがあります。
- 専門研修 — 日本専門医機構の案内では、転科して専攻医募集に応募し直す場合、研修開始は翌年度4月です[1]。専門研修に関わる人は、4月を基準に予定を立てることになります
- 引き継ぎの区切り — 外来の担当や当直表は先の分まで組まれているため、区切りのよい時期のほうが引き継ぎやすくなります
- 医局の人事 — 大学の医局に所属している場合、異動は医局の人事として決まることがあります。時期や手順は医局ごとに違うため、早めに医局に相談します(下の節を参照)
一方で、年度途中の入職は、応募先の欠員の時期と合いやすいこともあります。4月にこだわるかどうかは、自分の事情と応募先の状況で決めて構いません。4月入職の準備全体(保険・年金・引越し・保育園)は4月入職の転職はいつから準備する?にまとめています。
常勤を辞めるとき、退職はいつまでに申し出る?
法律と就業規則の両方を確かめます。
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 期間の定めのない雇用(いわゆる常勤の正職員) | 法律上は、いつでも解約の申し入れができ、申し入れの日から2週間で雇用が終わります(民法第627条第1項)[2] |
| 就業規則 | 常時10人以上を雇う職場は、退職に関する事項を就業規則に定めます(労働基準法第89条)[3]。「退職の○か月前までに申し出る」などの決まりがあるかを確かめます |
| 期間の定めのある雇用(任期付き・1年契約など) | 期間の途中で辞めるには「やむを得ない事由」が必要です(民法第628条)[2]。1年を超える期間の契約で働き始めて1年が過ぎていれば、当面の間は申し出ていつでも退職できます(労働基準法第137条)[4]。対象にならない契約もあるため、契約書と勤務先に確認します |
法律上は2週間でも、医師が急に辞めると外来や当直が回らなくなり、患者さんにも影響します。就業規則の期間 + 引き継ぎに必要な期間で伝える時期を決め、上司(診療科長・院長)に直接伝えます。残っている有給休暇の扱いや、賞与の支給日との関係はボーナスをもらって転職するタイミングは?で説明しています。
- 担当外来の枠と、予約が入っている先の日付
- 受け持ち患者の数と、主治医を引き継ぐ相手
- 手術・検査の予定、当直表がいつの分まで決まっているか
- 紹介状・診断書など、書類の作成の残り
大学の医局に所属している場合は?
医局に所属している医師の異動は、医局の人事として決まることがあります。医局人事の時期や決め方に公的な決まりはなく、医局ごとに違います。この記事では一般的な進め方だけを書きます。
- 相談の順番 — 医局に所属したまま転職・異動したいのか、医局を離れたいのかで、話す相手と順番が変わります。まず医局の決まりと、相談する相手(教授・医局長など)を確かめます
- 早めに相談する — 医局の人事は、次の年度の配置を早い段階で考え始めることがあります。翌年度の動きを考えているなら、早めに意向を伝えておくと調整しやすくなります
- 専門研修との関係 — 専攻医なら、研修プログラムの統括責任者への相談も必要です(次の節)
専攻医(専門研修中)の転職・異動はどうなる?
専門研修の決まりは、日本専門医機構と各領域の学会が定めています。機構が公表している範囲では、次のとおりです(2026年10月25日確認)。
- 年度途中の転科はできない — 研修中のプログラムを中断して別の領域に移りたい場合、年度途中の転科は認められていません。今年度の専攻医募集に改めて応募し、研修開始は翌年度(2027年4月)です[1]
- プログラムの辞退が先 — 同時に2つのプログラムには所属できないため、今のプログラムの辞退手続きを終えないと募集に応募できません。辞退は専攻医が申請し、プログラム統括責任者が承認します。1次募集に応募するには、今のプログラムの統括責任者と領域学会の了承も必要です[1][5]
- 機構への連絡の期限 — 転科を希望する専攻医は、機構の問い合わせフォームから連絡します。期限は1次募集分が2026年11月6日、2次募集分が12月4日、最終調整期間分が2027年1月15日と示されています[1]
- 2027年度の専攻医募集 — 1次募集の応募期間は2026年11月2日〜11月13日(正午まで)、2次募集は11月30日〜12月11日、最終調整期間は2027年1月8日〜1月22日です[6]
- 研修の空白 — 研修実績には、空白の期間ができないよう注意するよう案内されています。研修を中断するときは、中断の理由や期間を登録します[5]
- 休業・離職後の復帰 — 条件を満たせば、プログラム制からカリキュラム制に移れる場合があります。条件は領域ごとに違うため、領域学会に確認します[5]
同じ領域のまま勤務先(研修施設)を変えたい場合の扱いは、機構のFAQには直接の記載がありませんでした。所属するプログラムの統括責任者と領域学会に確認してください。
保険医登録・麻薬施用者免許の手続きはいつ?
勤務先が変わると、次の2つの手続きの期限が動き出します。詳しい手順は医師が引っ越す・異動するときの手続きにまとめています。
- 保険医登録の管轄変更 — 別の地方厚生局の管轄にある医療機関へ移るときは、変更から10日以内に、登録票を添えて変更前の地方厚生局に届け出ます(保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令第15条)[7]
- 麻薬施用者免許 — 都道府県知事が麻薬業務所(主に勤める病院・診療所)ごとに与える免許です(麻薬及び向精神薬取締法第3条)。元の麻薬業務所での業務をやめたら、15日以内に免許証を添えて届け出ます(同法第7条)[8]。別の都道府県に移るなら、移る先で新たに申請します
入職日から麻薬を処方する予定がある場合は、移る先の都道府県で申請から交付までの日数を早めに確かめておきます。
4月入職から逆算するとどうなる?

就業規則で「退職の3か月前までに申し出る」と決められている職場から、4月1日に入職する場合の見本です。実際の時期は、就業規則・引き継ぎ・応募先の選考の進み方で変わります。
| 時期(見本) | すること |
|---|---|
| 前の年の夏〜秋 | 応募先の情報を集め、採用ページを読み比べる。見学・面談を申し込む。医局・研修プログラムに所属していれば相談を始める |
| 秋〜12月 | 応募・面接。条件を書面(労働条件通知書)で確かめる |
| 12月末まで | 今の職場に退職を伝える(申し出の期間が3か月の場合) |
| 1〜3月 | 外来・受け持ち患者・当直の引き継ぎ。移る先の麻薬施用者免許の申請の時期を確認。引越しの見積もり |
| 3月31日 | 退職。元の都道府県への麻薬施用者免許の業務廃止届は15日以内 |
| 4月1日〜10日 | 入職。別の地方厚生局の管轄に移った場合は、保険医登録の管轄変更を10日以内に |
3月31日退職・4月1日入職にすると、健康保険と年金に空白ができません。空白ができる場合の手続きは退職後の手続き一覧を参照してください。面接で入職時期をどう伝えるかは医師の転職の面接で聞かれること・確かめることで、回答の見本つきで説明しています。
非常勤・外勤先を変えるときの時期は?
非常勤の外勤は、契約の形(雇用か業務委託か)と契約書の解約の条項で、辞めるときの手続きが変わります。雇用か業務委託かの違いは医師の非常勤は雇用か業務委託かにまとめています。常勤の転職と同時に外勤を整理する場合は、新しい勤務先で外勤を続けられるか、勤務時間の管理をどうするかを面接で確かめておきます。
転職先の採用ページはいつから見ておく?
早めに見始めて困ることはありません。採用ページの内容は時期によって変わるので、気になる医療機関は何度か見直します。採用直行便の医師向けページでは、採用ページに医師の募集の記載がある病院・クリニックを都道府県・市区町村ごとに一覧で見られます(募集の内容や現在募集中かは、各採用ページで確かめてください)。直接応募の進め方は医師の直接応募ガイドにまとめています。
参考資料(確認日 2026年10月25日)
- 一般社団法人日本専門医機構「研修中プログラムを中断し、転科をご希望の専攻医のみなさま」(2026年10月21日) ページ
- 民法 第627条・第628条(e-Gov法令検索) 法律
- 労働基準法 第89条(e-Gov法令検索) 法律
- 厚生労働省「労働基準法に関するQ&A(有期の労働契約を結ぼうと思っているのですが、労働基準法には契約期間の制限はありますか。)」 ページ
- 一般社団法人日本専門医機構「専攻医 よくあるご質問」 ページ
- 一般社団法人日本専門医機構「専攻医の方へ」(2027年度専攻医募集スケジュール) ページ
- 保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令 第15条(e-Gov法令検索) 省令
- 麻薬及び向精神薬取締法 第3条・第7条(e-Gov法令検索) 法律
よくある質問
常勤医師が退職するときは、何か月前に申し出ればいいですか?
法律では、期間の定めのない雇用なら、退職の申し入れから2週間で雇用が終わります(民法第627条第1項)。ただし、退職の手続きは就業規則に定めることになっていて(労働基準法第89条)、申し出の時期が決められている職場が多くあります。医師は外来や受け持ち患者の引き継ぎにも時間がかかるため、就業規則の期間に引き継ぎの期間を足して伝えるのが現実的です。
任期付き・1年契約の場合も2週間で辞められますか?
期間の定めのある契約は、期間の途中で辞めるには「やむを得ない事由」が必要です(民法第628条)。ただし、1年を超える期間の契約で働き始めて1年が過ぎていれば、当面の間は申し出ていつでも退職できます(労働基準法第137条)。ただし、この決まりの対象にならない契約もあるため、契約書の期間・更新の条件とあわせて勤務先に確認してください。
専攻医(専門研修中)でも転職できますか?
研修プログラムに所属したまま勤務先を変えられるかは、プログラムと領域学会の決まりによります。日本専門医機構は、年度途中の転科(別の領域への変更)は認めておらず、転科するには今のプログラムを辞退して専攻医募集に応募し直し、研修開始は最短で翌年度4月になると案内しています。まずプログラム統括責任者に相談してください。
別の都道府県の病院に移るとき、いつまでに何をすればいいですか?
勤務先が別の地方厚生局の管轄に変わるなら、10日以内に保険医登録の管轄変更を届け出ます。麻薬施用者免許は都道府県ごとの免許なので、移る先で新たに申請し、元の都道府県には業務を廃止してから15日以内に届け出ます。入職日から麻薬を処方する予定なら、申請の時期を早めに移る先の都道府県に確認します。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。