医師の転職の面接で聞かれること・確かめること|当直・オンコール・外来枠・退職時期
医師の転職の面接では何を聞かれる?

病院の常勤の面接では、院長や診療科の責任者、事務の担当者が同席することがあります。話題になりやすいのは次のような点です。
| 聞かれやすいこと | 答えるときの準備 |
|---|---|
| これまでの診療内容 | 勤務先の種類(大学・市中病院など)、診療科、担当した外来・病棟・手術の内容と年数 |
| 経験した手技・症例 | 一人でできる手技と、指導を受けながらの手技を分けて伝える |
| 専門医などの資格 | 取得済みのもの、更新の予定、これから取りたいもの |
| 希望する診療内容 | 外来中心か病棟中心か、続けたい専門外来や手技 |
| 当直・オンコール | 入れる回数、家庭の事情で難しい曜日 |
| 入職できる時期 | 今の職場の就業規則と引き継ぎを踏まえた日付 |
| 学会・研究 | 参加したい学会、続けたい研究、研究日の希望 |
| 外勤(ほかの医療機関での勤務) | 続ける予定の外勤の曜日と時間 |
同じ質問に対して、応募する側も条件を確かめます。以下の節では、病院の常勤で特に確かめたい点を順に説明します。クリニックへの転職で見学・面談のときに確かめる点はクリニック転職の見学・面談チェックリストにまとめています。
診療内容と外来の枠は何を確かめる?
- 外来 — 週に何コマか、初診・再診・専門外来のどれを担当するか、予約制か、1コマの患者数の目安
- 病棟 — 主治医として受け持つ患者数の目安、チーム制か主治医制か、休日の回診の当番
- 手術・検査・処置 — 枠の数、担当する手技、術者・助手の分担
- 救急 — 救急外来の当番の有無と回数、救急車の受け入れの体制
- 他科・他職種との分担 — 書類作成や説明の補助を担当する職種がいるか
数字は月や季節で変わるので、「おおよそ」で聞けば十分です。採用ページに書かれていることは先に読み、書かれていないことを面接で聞くと、話が早く進みます。
当直・オンコールはどう確かめる?

当直は、回数だけでなく宿日直許可を受けているかで扱いが変わります。労働基準監督署長の許可を受けた宿日直は、その許可の範囲で労働基準法上の労働時間規制が適用除外になります[1]。
- 許可の対象 — 常態としてほとんど労働する必要のない勤務。医師の宿直では、通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後であること、軽度または短時間の業務に限ること、夜間に十分睡眠がとれることなどが求められます[1]
- 回数 — 原則として宿直は週1回、日直は月1回が限度とされています(要件を満たせば超えて許可される場合があります)[1]
- 通常業務をしたとき — 許可を受けた宿日直中でも、通常の勤務時間と同じような業務に従事した時間は時間外労働の手続きと割増賃金の対象です[1]
- 許可の範囲 — 許可は、診療科、職種、時間帯、業務の種類などを限って得ることもできます。「深夜の時間帯のみ」「病棟の宿日直のみ」といった許可もあります[1]
面接では、「当直は月何回か」「宿日直許可を受けているか、受けているならどの範囲か」「救急対応が多い夜はどう扱うか」「オンコールの回数と、呼び出されたときの扱い」を聞いておくと、実際の働き方を想像しやすくなります。
時間外労働の上限(2024年4月から)は面接でどう関係する?
2024年4月から、医師にも時間外・休日労働の上限規制が適用されています[2][3]。
| 水準 | 時間外・休日労働の上限(医師個人) |
|---|---|
| A水準(原則) | 年960時間/月100時間未満 |
| 連携B・B・C水準(都道府県の指定を受けた医療機関) | 年1,860時間/月100時間未満 |
月100時間未満の上限は、例外的に適用されない場合があります[2]。また、時間外・休日労働が月100時間以上になると見込まれる医師には、どの水準でも面接指導が行われます。B・連携B・C水準では、始業から24時間以内に9時間の連続した休息を確保するなどの勤務間インターバルも求められます[3]。
個人の上限は、副業・兼業先の労働時間も通算して管理されます[2]。外勤を続けたい場合は、面接で曜日と時間を伝え、外勤の申告の方法と、上限の管理がどう行われるかを確かめておきます。応募先がどの水準か、指定を受けているかも、聞いてよい事項です。
学会・研究・専門医の更新はどう扱われる?
厚生労働省の通達(医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方)は、学会や外部の勉強会への参加・発表準備、専門医の取得・更新に係る症例報告作成や講習会の受講などを「研鑽」の例に挙げています。そのうえで、業務上必須ではない行為を、自由な意思に基づき、所定労働時間外に、自ら申し出て、上司の明示・黙示の指示なく行う時間は、一般的に労働時間に当たらないとしています[4]。逆に、業務上必須のものや上司の指示で行うものは労働時間になります。
同じ資料は、学会に参加する旅費などを医療機関が負担していても、それ自体は労働時間に当たるかどうかの判断に直接関係しないとしています[4]。面接では、学会参加が出張扱いになるか、費用の補助、研究日の有無、症例の記録や論文執筆の時間をどう扱うかを確かめておくと、入職後の行き違いを防げます。
退職時期と引き継ぎはどう答える?
入職時期は、面接で必ず聞かれます。期間の定めのない雇用では、民法上は解約の申入れの日から2週間で雇用が終わります(民法第627条第1項)[5]。ただし、就業規則で退職の申出の時期を決めている職場は多く、医師の場合は担当患者の引き継ぎ・後任の手配・外来の予約枠の整理にも時間がかかります。
- 今の職場の就業規則で、退職の申出の時期を確かめる
- 担当外来・受け持ち患者・手術予定の引き継ぎに必要な期間を見込む
- 面接では「○月末で退職し、○月○日から勤務できます」と具体的に伝える
- 決まっていないときは「就業規則上は○か月前の申出で、引き継ぎを考えると○月ごろからになります」と幅を持たせる
【回答の見本】 現在の病院の就業規則では退職の3か月前までに申し出ることになっています。外来の予約と受け持ち患者さんの引き継ぎを考えると、来年4月1日から勤務できる見込みです。
内定の前後に書面で確かめることは?
面接で決めた条件は、入職前に書面で確かめます。労働基準法施行規則第5条は、雇い入れの際に明示する労働条件として、契約期間、就業の場所と従事する業務(変更の範囲を含む)、始業・終業の時刻と所定労働時間を超える労働の有無、休憩・休日・休暇、賃金の決め方と支払い方、退職に関する事項などを定め、このうち主なものは原則として書面で交付することとしています[6]。2024年4月からは、就業場所と業務の変更の範囲の明示も必要になりました[7]。
当直の回数、宿日直許可の範囲、外勤の扱い、学会参加の扱いなど、面接で話した内容が書面のどこに書かれているかも見ておきます。確認の進め方は労働条件通知書の確認点、非常勤や業務委託の契約は医師の非常勤は雇用か業務委託かにまとめています。
病院の採用ページから直接応募するには?
採用直行便の医師向けページでは、採用ページに医師の募集の記載がある病院・クリニックを、都道府県・市区町村ごとに一覧で見られます。募集の内容や現在募集しているかは、各医療機関の採用ページで直接確かめてください。問い合わせから面接までの進め方は医師の直接応募ガイドにまとめています。
参考資料(確認日 2026年10月24日)
- 厚生労働省・東京労働局「宿日直許可申請を検討する事業主の皆さまなどへ」 PDF/いきいき働く医療機関サポートWeb「役に立つ情報」 ページ
- 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 ページ
- 厚生労働省「医師の働き方改革の制度について」(長時間労働医師への面接指導) ページ/厚生労働省「医師の働き方改革」 ページ
- 厚生労働省「医師の宿日直許可基準・研鑚に係る労働時間に関する通達」(令和元年7月18日 第67回社会保障審議会医療部会 参考資料1-3) PDF
- 民法 第627条(e-Gov法令検索) 法律
- 労働基準法施行規則 第5条(e-Gov法令検索) 省令
- 厚生労働省リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」 PDF
よくある質問
医師の転職の面接では何を聞かれますか?
これまでの診療内容と経験した手技、専門医などの資格、希望する診療内容、当直・オンコールに入れるか、入職できる時期、学会・研究の希望、外勤の予定などがよく話題になります。応募する側からも、外来の枠や当直の扱いを確かめる場になります。
医師の時間外労働の上限は何時間ですか?
2024年4月から、医師にも時間外・休日労働の上限規制が適用されています。原則(A水準)は年960時間・月100時間未満です。都道府県の指定を受けた医療機関のB・連携B・C水準では年1,860時間までとされています(例外的に月100時間未満の上限が適用されない場合があります)。
宿日直許可とは何ですか?
労働基準監督署長の許可を受けた宿直・日直で、その許可の範囲では労働基準法上の労働時間の規制が適用されません。対象は、ほとんど労働する必要のない勤務です。許可を受けた宿日直中でも、通常の勤務と同じような業務をした時間は時間外労働として扱われ、割増賃金の対象になります。
学会への参加は労働時間になりますか?
厚生労働省の通達では、業務上必須でなく、自由な意思で、所定労働時間外に、自ら申し出て上司の指示なく行う学会参加や準備は、一般的に労働時間に当たらないとされています。一方、業務上必須のものや上司の指示によるものは労働時間です。扱いは医療機関ごとに確認します。
退職は何か月前に伝えればいいですか?
期間の定めのない雇用では、民法上は解約の申入れから2週間で雇用が終わります。ただし就業規則で申出の時期を決めている職場が多く、担当患者の引き継ぎや後任の手配もあるため、今の職場の就業規則を確かめ、引き継ぎに必要な期間を見込んで入職日を決めます。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。