ボーナスをもらって転職するタイミングは?退職を伝える時期・支給日在籍・入職日の決め方
ボーナスは必ずもらえる?賞与のルールはどこで決まる?

賞与は、法律で支給が決まっているものではありません。厚生労働省のモデル就業規則の解説は、賞与は労働基準法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではないとしたうえで、支給する場合は就業規則に支給対象時期、算定基準、査定期間、支払方法などを明確にしておく必要があるとしています[1]。
労働基準法でも、賞与のような臨時の賃金について定めをする場合は、その事項を就業規則に書くことになっています(第89条第4号)[2]。つまり、ボーナスがいつ・誰に・どう決まって支給されるかは、職場ごとの就業規則や賃金規程を見ないとわかりません。
就業規則は、使用者が労働者に周知しなければならないものです(労働基準法第106条)[2]。休憩室への掲示や共有フォルダなど、職場で見られる場所を確認してください。見当たらなければ、事務長や人事担当に「賃金規程を確認したい」と頼めます。
「支給日在籍要件」とは?退職日が支給日の前だとどうなる?
「支給日在籍要件」とは、賞与の支給日(または一定の基準日)に在籍している人にだけ賞与を支給するという定めのことです。厚生労働省のモデル就業規則の解説は、賞与の支給対象者を一定の日(例として6月1日や12月1日、または賞与支給日)に在籍した者とする規定を設けることで、その日に在職しない者には支給しないとすることも可能だとしています[1]。
こうした定めについては、最高裁判所が、支給日に在籍する者にだけ賞与を支給する慣行を明文化した就業規則の改訂に合理性があるとして、退職後に支給日が来た賞与の受給を認めなかった判決があります(大和銀行事件、昭和57年10月7日)[3]。
- 規程に支給日在籍要件がある — 退職日が支給日より前なら、支給されないことがあります。退職日を支給日より後に置く必要があります
- 算定対象期間(査定の対象期間)だけが書かれている — 規程の書き方によって扱いが変わります。読んでもわからないときは、人事担当に確認します
- 支給日が「○月○日」ではなく「○月上旬」などと書かれている — 実際の支給日を確認してから退職日を決めます
規程の解釈で迷う場合や、職場と話がまとまらない場合は、都道府県労働局などにある総合労働相談コーナーに無料で相談できます[4]。
退職はいつ伝える?ボーナスの前に伝えてもいい?

法律上、期間の定めのない雇用(正職員など)は、いつでも解約の申し入れができ、申し入れの日から2週間で雇用が終了します(民法第627条第1項)[5]。厚生労働省のサイトは、就業規則に退職の手続が定められていることが一般的なので確認するよう案内し、予告期間を大幅に延ばしたり会社の許可を退職の条件にしたりする規定は無効とされるとしています[6]。就業規則に「1か月前まで」などの定めがあるなら、それに合わせて申し出るのが円満です。
ボーナスとの関係で整理すると、次のようになります。
| 確認すること | 決まるもの |
|---|---|
| 賞与の支給日と在籍の条件 | 退職日を置ける最も早い日 |
| 就業規則の退職の申し出期間 | 退職を伝える最も遅い日 |
| 残っている有給休暇の日数 | 最終出勤日(退職日から有給の日数を引いた日) |
| 引き継ぎ・勤務表の作成時期 | 現実的に伝えたい時期 |
支給日に在籍していれば対象になる規程なら、支給日より前に退職を伝えても、退職日が支給日より後であれば条件そのものは満たせます。ただし賞与の額は、勤務成績などの査定で決まる職場が多くあります。大阪労働局は、適正な査定等による減額であれば問題はないと思われるとしています[7]。退職予定であることが査定にどう扱われるかは職場の規程と運用によるので、規程を読み、気になる点は確かめてから伝える時期を決めてください。
病院やクリニックは勤務表(シフト)で動くため、伝えるのが遅いほど調整が難しくなります。誰にどう伝えるかは看護師の退職の伝え方で詳しく説明しています(看護師以外の職種にも当てはまる内容です)。
有給休暇を消化してから辞められる?
年次有給休暇は、雇い入れの日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に与えられます(最初は10労働日。労働基準法第39条)[2]。厚生労働省のサイトは、退職によって年休の権利は消えるため、使用者は時季変更権を行使できず、残っている年休の取得を認めるほかないと説明しています[8]。
ボーナスの支給日、有給休暇の消化、退職日の3つを並べると、たとえば次のような組み方になります。
- 支給日のあとに最終出勤日を置き、残りの有給休暇を使ってから退職日を迎える
- 有給休暇を使い切る日を退職日にし、その翌日以降を転職先の入職日にする
どちらの場合も、支給日在籍要件の「在籍」は退職日までなので、有給休暇の消化中も在籍していることになります。規程で別の条件(出勤していることなど)が付いていないかは確認してください。
入職日はどう決める?転職先の賞与・有給・社会保険
今の職場の賞与を受け取ってから辞めると、入職日はそのぶん後ろになります。転職先と入職日を相談するときは、次の点も一緒に考えます。
- 転職先の最初の賞与 — 賞与に算定対象期間を設けている職場では、入職日によって最初の賞与の対象になるかどうかが変わります[1]。労働条件通知書と賃金規程で確認します
- 転職先の有給休暇 — 法律上の最初の年休は、雇い入れから6か月後です(労働基準法第39条)[2]。入職直後に休みが必要な予定がある場合は、入職前に相談しておきます
- 社会保険の空白 — 退職日と入職日の間が空くと、国民健康保険・国民年金などの手続きが必要になります。退職した月の賞与と社会保険料の関係(月末退職の場合は保険料がかかる)も含めて、退職月の社会保険料で説明しています[9]
入職日の希望は、内定の連絡を受けた段階で、理由(今の職場の申し出期間や引き継ぎ)とあわせて伝えると調整しやすくなります。
医療機関の賞与制度はどこで確認する?
病院・クリニックの賞与の有無や決め方は、医療機関ごとに違います。応募先については、次の順で確認します。
- 公式採用ページ — 賞与の有無や支給回数を載せている医療機関もあります。載っていなければ、面接や見学のときに確認する項目としてメモしておきます
- 労働条件通知書 — 賞与の定めがある場合、賞与に関する事項は労働契約を結ぶときに明示する労働条件に含まれます(労働基準法施行規則第5条第1項第5号)[10]。内容の見方は労働条件通知書の確認ポイントにまとめています
- 就業規則・賃金規程 — 支給日、在籍の条件、算定対象期間など細かな点は規程に書かれています。入職後に見られるようになるのが一般的ですが、気になる点は内定後に確認してかまいません
今の職場の規程も同じです。転職を決める前に、自分の職場の賞与の規程を一度読んでおくと、退職日を決めるときに迷いません。
転職前後の家計を見直したいときは?
転職の時期は、最後の給与や賞与、新しい職場の最初の給与日、社会保険料や住民税の納付などが重なり、お金の出入りが変わりやすい時期です。住民税の扱いは退職・転職した年の住民税で説明しています。税や保険料の個別の判断は各窓口に確認し、家計全体の見直しはファイナンシャルプランナー(FP)に相談する方法もあります。
次の職場を探すなら
入職日を相談できるのは、応募先が決まってからです。採用直行便では、病院・クリニックの公式採用ページを市区町村ごとに一覧で見られます。医療機関名で探すか地図で探すから応募先を見つけ、賞与の有無や入職時期は各医療機関の採用ページと面接で直接確かめてください。直接応募の進め方は直接応募ガイドにまとめています。
参考資料(確認日 2026年10月24日)
- 厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月)」第50条(賞与)の解説 PDF/掲載ページ
- 労働基準法 第39条・第89条・第106条(e-Gov法令検索) 法律
- 厚生労働省「確かめよう労働条件 — 裁判例(賞与不払い)」大和銀行事件(最一小判 昭和57年10月7日) ページ
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 ページ
- 民法 第627条(e-Gov法令検索) 法律
- 厚生労働省「確かめよう労働条件 — 退職、解雇、雇止めなど」 ページ
- 大阪労働局「よくあるご質問(賃金・退職金・賞与関係)」 ページ
- 厚生労働省「確かめよう労働条件 — 年次有給休暇」 ページ
- 日本年金機構「退職した従業員の保険料の徴収」 ページ
- 労働基準法施行規則 第5条(e-Gov法令検索) 省令
よくある質問
ボーナスは法律で必ず支払われるものですか?
いいえ。厚生労働省のモデル就業規則の解説では、賞与は労働基準法その他の法律で設けることが義務付けられているものではないとしています。支給するかどうか、誰に、いつ、どう決めて支給するかは、職場の就業規則や賃金規程、労働契約で決まります。
支給日の前に退職すると、ボーナスはもらえませんか?
就業規則などに「支給日に在籍している人に支給する」といった定め(支給日在籍要件)があれば、支給日より前に退職した人には支給されないことがあります。厚生労働省のモデル就業規則の解説も、このような規定を設けることは可能としています。まず自分の職場の規程を確認してください。
ボーナスをもらう前に退職を伝えても大丈夫ですか?
退職の申し出の時期と賞与の支給は、それぞれ就業規則で決まります。支給日に在籍していれば支給の対象になる規程なら、退職日を支給日より後にすることで条件を満たせます。ただし賞与の額は査定で決まることが多く、退職予定であることが査定にどう扱われるかは職場によるため、規程を確認したうえで時期を決めてください。
退職は何日前に伝えればいいですか?
期間の定めのない雇用は、法律上は解約の申し入れから2週間で終了します(民法第627条)。就業規則に「1か月前まで」などの定めがあれば、それに沿って申し出るのが円満です。引き継ぎや勤務表の調整を考えて、余裕をもって伝えます。
転職先で最初の冬のボーナスは出ますか?
転職先の規程によります。賞与に算定対象期間(査定の対象になる期間)を設けている職場では、入職日によって最初の賞与の対象になるかどうか、どの程度反映されるかが変わります。入職前に労働条件通知書と賃金規程で確認してください。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。