退職月の社会保険料はどうなる?月末退職と月の途中の違い・2か月分引かれる理由

公開 2026年10月28日・最終更新 2026年10月28日

結論:健康保険と厚生年金は退職日の翌日に資格を失い、保険料は資格を失った日の属する月の前月分までかかります。月末に退職すると資格喪失日は翌月1日なので、退職した月の分まで保険料がかかり、最後の給与から前月分と退職月分の2か月分が引かれることがあります。月の途中で退職すると退職月の職場の保険料はかかりませんが、その月の末日に次の職場の保険に入っていなければ、国民健康保険と国民年金などを自分で納めます。

退職した月の社会保険料はどう決まる?

給与明細と電卓

職場の健康保険と厚生年金は、退職した日(事業所に使用されなくなった日)の翌日に資格を失います(健康保険法第36条、厚生年金保険法第14条)[1][2]。この日を「資格喪失日」といいます。

保険料は日割りではなく月単位です。厚生年金は、資格を取った月から資格を失った月の前月までを加入期間とし、その各月について保険料を納めます(厚生年金保険法第19条・第81条)。健康保険も、前月から続けて加入していた人が資格を失った月の保険料は計算しないと定めています(健康保険法第156条第3項)[1][2]。日本年金機構も、従業員の保険料は資格を取った日の属する月から、資格を失った日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生すると案内しています[3]。

退職日資格喪失日職場の保険料がかかる最後の月
3月31日(月末)4月1日3月分(退職した月の分までかかる)
3月30日(月末の前日)3月31日2月分(退職した月の分はかからない)
3月15日(月の途中)3月16日2月分(退職した月の分はかからない)

上の表は日付による違いを示す見本です。たった1日の違いで、退職した月の保険料を職場の保険で払うかどうかが変わります。

最後の給与から2か月分引かれるのはなぜ?

会社は、毎月の給与から前月分の保険料を差し引くことができます。たとえば4月に支払う給与からは3月分の保険料を引く、という形です。そして、退職するとき(事業所に使用されなくなったとき)は、前月分とその月の分を給与から差し引くことができると法律で定められています(健康保険法第167条、厚生年金保険法第84条)[1][2]。

  • 月の途中で退職 — 退職月の前月分の保険料を、退職月の給与から差し引きます[3]
  • 月末に退職 — 退職月の前月分と退職月分の2か月分を、退職月の給与から差し引くことができます[3]。給与の締め日によって、前月分と当月分が最後の給与から引かれる場合があります[4]

2か月分引かれても、二重に払っているわけではありません。協会けんぽも、資格を失った月の分の保険料は不要で、事業所で差し引かれた保険料と任意継続の保険料が二重払いになることはないと案内しています[5]。最後の給与明細で手取りが少なく見えるのは、本来翌月の給与で引かれるはずの退職月の分も先に引かれているためです。どの月の分が引かれているかは、給与明細か勤務先の担当者に確認してください。

月末退職は損?月の途中の退職との違いは?

月末に丸をつけたカレンダー

「月末退職は損」と言われることがありますが、どちらが得かは一律には言えません。比べるときは、退職した月の保険をどこで、誰の負担で払うかを考えます。

月末に退職月の途中で退職(月内に次の職場に入らない)
退職した月の健康保険職場の健康保険(会社も保険料を負担)国民健康保険・任意継続・家族の扶養のどれか
退職した月の年金厚生年金(加入期間に入る)国民年金(第1号)。扶養されている配偶者がいればその人も第1号に
最後の給与から引かれる保険料前月分+退職月分(2か月分のことがある)前月分
退職した月の賞与保険料がかかる保険料はかからない

年金は、月の末日にどの制度に入っているかでその月の扱いが決まり、種別が変わった月は変更後の種別の月とみなします(国民年金法第11条の2)[6]。月の途中で退職して、その月の末日に次の職場の厚生年金に入っていれば、その月は厚生年金の月です。入っていなければ国民年金の月になり、自分で保険料を納めます。

健康保険と厚生年金の保険料は会社と本人で半分ずつ負担しますが、国民健康保険と国民年金は本人が全額を納めます。国民健康保険料は前年の所得や世帯、市区町村によって変わるため、金額で比べたいときは、お住まいの市区町村の窓口で試算を確かめてください。

退職した月にボーナスが出たら?

賞与の保険料は賞与から差し引きますが、資格を失った月に支払われた賞与は保険料の対象になりません[7]。日本年金機構は、退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料を差し引く対象にならないと案内しています[3]。

  • 月の途中で退職し、その月に賞与が出た — 退職した月は資格喪失月なので、賞与に保険料はかかりません
  • 月末に退職し、その月に賞与が出た — 資格喪失月は翌月なので、賞与から保険料が差し引かれます

なお、健康保険では、資格喪失月に支払われた賞与も年度の標準賞与額の累計には含めます[7]。賞与の支給日と退職日の関係は、勤務先の就業規則で確認してください。

翌月の国民健康保険・国民年金はどうなる?

次の職場の健康保険に入るまで1日でも空白があれば、その間は国民健康保険・任意継続・家族の健康保険の被扶養者のどれかに入り、年金は国民年金の第1号被保険者になります。期限は、国民健康保険と国民年金が14日以内、任意継続が退職日の翌日から20日以内です。手続きの流れは転職の空白期間の健康保険と転職の空白期間の年金で説明しています。

  • 国民年金 — 被保険者期間は月単位で、資格を取った日の属する月から、資格を失った日の属する月の前月までです(国民年金法第11条)[6]。月末に退職した場合、翌月の末日も無職なら、翌月分から国民年金保険料を納めます
  • 国民健康保険 — 保険料(税)の計算方法は市区町村ごとに違います。例えば練馬区は、届け出た日ではなく国保の資格が生じた月の分から納め、月単位で日割りはしないと案内しています[8]。届け出が遅れても、さかのぼって納めることになります
  • 任意継続 — 保険料は月単位で、加入が月初めでも月末でも1か月分です[5]

月末に退職して翌月1日に次の職場に入れば、空白がないので国民健康保険・国民年金の手続きは要りません。退職日と入職日は、保険の切り替えも考えて決めると、手続きと支払いの見通しが立てやすくなります。

退職前後の家計を見直したいときは?

退職月は、最後の給与の手取りが減ったり、国民健康保険料・国民年金保険料や住民税の納付書が届いたりと、出ていくお金の時期が重なりやすくなります。住民税の扱いは退職・転職した年の住民税で説明しています。保険料や税の個別の判断は各窓口に確認し、家計全体の見直しはファイナンシャルプランナー(FP)に相談する方法もあります。

次の職場を決めてから退職日を考えるなら

入職日が決まっていれば、月末退職と翌月1日の入職で空白をなくすなど、保険の切り替えを考えて退職日を相談しやすくなります。採用直行便では、病院・クリニックの公式採用ページを地域ごとに一覧で見られます。地図で探すから通いやすい職場を見つけ、入職の時期や条件は各医療機関の採用ページで直接確かめてください。

参考資料(確認日 2026年10月24日)

  1. 健康保険法 第36条・第156条・第167条(e-Gov法令検索) 法律
  2. 厚生年金保険法 第14条・第19条・第81条・第84条(e-Gov法令検索) 法律
  3. 日本年金機構「退職した従業員の保険料の徴収」 ページ
  4. 日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」 ページ
  5. 全国健康保険協会「保険料について(健康保険任意継続制度 よくあるご質問)」 ページ
  6. 国民年金法 第11条・第11条の2(e-Gov法令検索) 法律
  7. 日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」 ページ
  8. 練馬区「保険料(国保)」 ページ

よくある質問

月末に退職すると、最後の給与から社会保険料が2か月分引かれるのはなぜですか?

健康保険・厚生年金の保険料は、前月分を当月の給与から差し引くのが原則です。月末に退職すると資格を失うのは翌月1日なので、退職した月の分まで保険料がかかります。会社は、退職した人の最後の給与から前月分と退職した月の分の2か月分を差し引くことができる(健康保険法第167条、厚生年金保険法第84条)ため、2か月分になることがあります。

月の途中で退職すると、退職した月の社会保険料はかかりませんか?

退職日の翌日が資格喪失日で、保険料は資格喪失日の属する月の前月分までなので、退職した月の健康保険・厚生年金の保険料はかかりません。ただし、その月の末日に次の職場の健康保険・厚生年金に入っていなければ、その月は国民健康保険と国民年金(または任意継続・家族の扶養)の対象になり、自分で保険料を納めることになります。

月末退職と月の途中の退職、どちらが得ですか?

一律には言えません。月末に退職すると退職した月の保険料は職場の保険で払い、会社も半分を負担します。月の途中で退職すると職場の保険料はかかりませんが、次の職場に入るまでの月は国民健康保険・国民年金などを自分で払います。国民健康保険料は前年の所得や市区町村で変わるため、金額を比べるなら市区町村の窓口で試算を確かめてください。

退職した月に賞与(ボーナス)が出たら、社会保険料は引かれますか?

資格を失った月に支払われた賞与には保険料がかかりません。月の途中で退職した月に支払われた賞与は保険料の対象外です。月末に退職した場合は資格を失うのが翌月なので、退職した月に支払われた賞与からは保険料が差し引かれます(日本年金機構)。

月末退職で翌月1日に次の職場に入れば、手続きは要りませんか?

健康保険・年金の空白がないので、国民健康保険や国民年金の手続きは要りません。新しい職場で健康保険・厚生年金に入る手続きをします。1日でも空白がある場合は、国民健康保険(14日以内)・任意継続(退職日の翌日から20日以内)・家族の扶養のどれかと、国民年金の手続きが必要です。

次の職場は、公式採用ページから直接応募

採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。

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