医師の職務経歴書の書き方|職務要約・診療内容の書き方と見本(テンプレート)
医師の職務経歴書は何のために出す?履歴書との分担は?
職務経歴書は、これまでの仕事の内容を自由な様式で詳しく書く書類です。ハローワーク(厚生労働省)のパンフレットは、職務経歴書をA4縦1〜2枚程度に書く書類とし、目的は応募先に自分の実務能力を伝えることだと説明しています[1]。
医師の場合、履歴書には学歴・職歴の年月と医師免許などの基本情報を書き、職務経歴書にはどの診療科で、どんな患者さんを、どの役割で診てきたかを書きます。分担の考え方と、次の内容は医師の履歴書・職務経歴書の書き方で詳しく説明しているので、この記事では短くふれるだけにします。
- 医師免許の欄 — 医籍登録番号・登録年月日の書き方
- 専門医・指導医 — 認定団体を含む正式名称と取得年月
- 論文・学会発表 — 業績一覧の書式
- 患者情報の注意 — 症例や手技を書くときに、患者さんが分かる情報を書かないこと
この記事では、職務経歴書の構成・職務要約・勤務先ごとの書き方・応募先に合わせた書き分けを中心に説明します。
職歴はどの順番で書く?編年体式・逆編年体式・キャリア式
ハローワークのパンフレットでは、職務経歴の書き方として次の3つ(ほかに自由な形式)を挙げ、迷ったら編年体式にするよう案内しています[1]。
| 形式 | 並べ方 | 医師で向いている場合 |
|---|---|---|
| 編年体式 | 古い勤務先から順に | 臨床研修から順に経歴をたどってほしいとき。迷ったときの基本 |
| 逆編年体式 | 新しい勤務先から順に | 直近の勤務先での診療内容を最初に読んでほしいとき。同じ病院に長く勤めた人 |
| キャリア式 | 職務の種類ごとにまとめる | 人事で多くの病院を回った人、外来・在宅・健診など複数の働き方をしてきた人 |
キャリア式は、経験した職務を強調できる反面、時間の流れが分かりにくくなります。パンフレットは、その場合に時系列の「略歴」を別に付けると分かりやすいとしています[1]。医師の場合、臨床研修・専門研修の年月は採用側が必ず確かめるので、キャリア式でも略歴は付けておきます。
冒頭の「職務要約」には何を書く?

職務要約は、職務経歴書の最初に置く3〜5行の要約です。採用担当者が最初に読む部分なので、次の4点を短く入れます。
- 医師としての経験年数と診療科 — 臨床研修修了後の年数、主な診療科
- 主な勤務先の種類 — 大学病院・地域の病院・クリニック・在宅など
- 得意な診療・役割 — 外来の継続診療、救急の初期対応、内視鏡、在宅の看取りなど
- 今回の応募でしたいこと — 応募先の診療に結びつけて一言
【職務要約】 ○年に臨床研修を修了後、○○科の専門研修を経て、地域の病院で○年間、外来・病棟診療に従事しました。 外来では慢性疾患の継続診療を中心に、週○コマを担当してきました。 貴院では、地域のかかりつけとして外来診療を長く担いたいと考え、応募いたしました。
以上は書き方の見本です。経験年数や診療科は自分の経歴に置き換えてください。要約に書いた内容は、下の職務経歴で具体的に裏づけられるようにします。
勤務先ごとの職務内容はどう書く?
勤務先ごとに、期間・勤務先・診療科・役職を1行目に書き、その下に職務内容を箇条書きにします。パンフレットは、職務経歴の文は「〜を担当」「〜に従事」のように名詞で終える形を基本とし、自己PRや志望動機は「です・ます」の文にするとよいとしています[1]。
- 病院(常勤) — 外来(初診・再診・専門外来)のコマ数、病棟の担当患者数の目安、当直・オンコール、救急の対応範囲、主な検査・手技と役割
- クリニック — 診療の範囲(年齢層・専門外の対応)、1日の外来の流れのなかでの役割、検査を自分で行うか、予防接種・健診・在宅の担当
- 非常勤(定期) — 勤務先、曜日と担当(例:週1日 午前外来)、期間。スポット勤務は「主な内容」をまとめて1行でも構いません
- 院内の役割 — 研修医の指導、委員会、地域連携、マニュアル作り、電子カルテの導入への関わりなど
数字は、記録で確かめられる範囲で「約○件」「週○コマ」と書きます。病院名は略さず正式名称で書き、年号は和暦か西暦のどちらかにそろえます[1]。症例の書き方の注意は医師の履歴書の記事の「個人情報・患者情報で気をつけること」を見てください。
応募先に合わせて何を強調する?
パンフレットは、職務経歴書の内容は応募先の知りたいことに合わせて書くもので、同じ内容を複数の応募先に使い回すのは適当でないとしています[1]。医師の場合、職歴の事実は変わりませんが、要約と「活かせる経験」で前に出す内容を変えます。
| 応募先 | 前に出したい経験の例 |
|---|---|
| 病院(常勤) | 病棟管理、当直・救急の対応範囲、手術・検査の件数と役割、研修医の指導 |
| クリニック(外来中心) | 外来の継続診療、幅広い年齢層・専門外の初期対応、検査を自分で行う経験、紹介先との連携 |
| 在宅医療(訪問診療) | 訪問診療・往診の経験、看取り、多職種連携(訪問看護・ケアマネジャー)、オンコールの経験 |
| 健診・予防接種 | 健診の判定や事後指導、予防接種の問診・接種の経験 |
応募先が何を求めているかは、採用ページの募集の記載と診療内容のページから読み取れます。採用ページの読み方は募集要項の見方(採用ページで確かめる項目)にまとめています。クリニックの働き方の違いは医師がクリニックへ転職するときに確認することも参考にしてください。
非常勤・大学院・休職の期間はどう書く?
- 常勤と非常勤が重なっている — 常勤の職歴を主にし、非常勤は別の見出し(「非常勤・兼業」)にまとめると時系列が崩れません
- 大学院・留学 — 期間、所属、研究の分野を1〜2行で。臨床を続けていた場合は、その勤務先と内容を添えます
- 育児・介護・療養などで離れていた期間 — 書く義務はありませんが、空白の理由が分からないと面接で聞かれやすくなります。「○年○月〜○年○月 育児のため休職」のように、差し支えない範囲で一言添えます
- 医局の人事で短期間に移った — 勤務先ごとに分けて書き、「医局人事による異動」と一言添えると経緯が伝わります
パンフレットは、面接では職務経歴書の内容に基づいて質問されることが多いとしています[1]。書いた期間や理由について、面接で自分の言葉で説明できるようにしておきます。面接で聞かれやすいことは医師の転職の面接で聞かれること・確かめることにあります。
「活かせる経験」「自己PR」「希望する働き方」はどう書く?
職務経歴の後ろに、応募先で役立つ経験と、働き方の希望を短く書きます。
【活かせる経験】 ・慢性疾患(高血圧・糖尿病など)の外来での継続診療(週○コマ、○年) ・腹部超音波検査(自ら実施、約○件) ・訪問看護ステーション・地域包括支援センターとの連携 【自己PR】 外来では、限られた診察時間のなかで、検査結果や治療の見通しを患者さんとご家族に分かりやすく説明することを心がけてきました。 【希望する働き方】 常勤(週○日)。外来診療を中心に、○○の診療にも関わることを希望します。
以上は書き方の見本です。「何でもできます」と並べるより、応募先の診療に関係する経験に絞ったほうが伝わります。報酬などの条件は、職務経歴書には書かず、面談や労働条件の書面で確かめます。
職務経歴書の見本(クリニックに応募する場合)
逆編年体式(新しい順)で、職務要約を冒頭に置いた見本です。編年体式の見本は医師の履歴書の記事にあります。
職務経歴書 ○年○月○日現在 氏名 ○○ ○○ 【職務要約】 臨床研修修了後○年。○○科専門医。地域の病院で外来・病棟診療に従事し、 直近○年は外来診療(慢性疾患の継続診療)を中心に担当。 地域で長く外来診療を担いたいと考え、貴院に応募いたします。 【職務経歴】 ○年4月〜現在 ○○病院 ○○科(医員) ・外来:週○コマ(再診中心、専門外来 週○コマ) ・病棟:担当患者 常時約○名 ・検査:腹部超音波(自ら実施、約○件) ・研修医の外来指導、○○委員会の委員 ○年4月〜○年3月 ○○病院 ○○科(専攻医、○○専門研修プログラム) ・病棟・外来・当直(月○回程度、救急外来の一次対応を含む) ○年4月〜○年3月 ○○病院(臨床研修) 【非常勤・兼業】 ○年○月〜現在 ○○クリニック 週1日(○曜午前の外来) 【免許・資格】 医師免許(○年○月)/○○専門医(○○ 認定、○年○月) 【活かせる経験】 ・慢性疾患の外来での継続診療 ・腹部超音波検査 ・訪問看護・地域包括支援センターとの連携 【希望する働き方】 常勤。外来診療を中心に、予防接種・健診にも関わることを希望します。 業績(論文○件・学会発表○件)は別紙のとおり。
以上は、書き方を示すための見本です。医療機関名・年数・件数はすべて自分の記録に置き換えてください。免許の欄の詳しい書き方(医籍登録番号など)は医師の履歴書の記事を参照してください。
体裁と提出前のチェックは?

ハローワークのパンフレットが示す基本は次のとおりです[1]。
- 用紙と枚数 — A4縦、1〜2枚程度。一覧(医師なら業績一覧など)を別紙にする場合は、その分増えても差し支えないとされています
- 文字 — 本文は10.5〜12ポイント程度で、フォントをそろえる。余白(特に左)を十分にとる
- 表記 — 年号は和暦か西暦に統一。施設名・資格名は略さず正式名称。専門用語が多くなる場合は、読み手に合わせて言い換える
- 日付 — 提出日を書き、履歴書と同じ日付にする
- 見直し — 誤字・脱字を確認し、提出したものの写しを手元に残す
クリニックでは、院長だけでなく事務の担当者も書類を読むことがあります。略語(科名・検査名)を多用せず、誰が読んでも分かる書き方にしておくと安心です。応募の連絡や書類の送り方はクリニック・病院へ直接応募するときのメールにまとめています。
書類ができたら、採用直行便の医師向けページで、採用ページに医師の募集の記載がある病院・クリニックを地域ごとに探せます。募集の内容や応募の方法は、各医療機関の採用ページで直接確かめてください。
参考資料(確認日 2026年10月27日)
- ハローワークインターネットサービス(厚生労働省)「職務経歴書」パンフレット PDF
よくある質問
医師の職務経歴書は何枚くらいにまとめればいいですか?
決まりはありません。ハローワークのパンフレットは、職務経歴書をA4縦1〜2枚程度に自由様式で書く書類と説明しています。医師は業績や手技の一覧が長くなりやすいので、本文は1〜2枚にまとめ、論文・学会発表の一覧は別紙にすると読みやすくなります。
テンプレート(決まった様式)はありますか?
職務経歴書は自由様式です。応募先に指定があればそれに従います。指定がなければ、この記事の見本のように「職務要約・職務経歴・免許と資格・活かせる経験・希望する働き方」の順に並べると、医療機関の採用担当者が読みやすい形になります。ハローワークも記入例や様式例を公開しています。
古い順と新しい順、どちらで書けばいいですか?
どちらでも構いません。ハローワークのパンフレットは、迷ったら古い順の「編年体式」にするよう案内しています。直近の勤務先での診療内容を先に伝えたい場合は、新しい順の「逆編年体式」も使えます。
同じ職務経歴書を複数の医療機関に出してもいいですか?
ハローワークのパンフレットは、職務経歴書は応募先が知りたいことに合わせて書くもので、同じ内容の使い回しは適当でないとしています。職歴の事実は同じでも、職務要約と「活かせる経験」「希望する働き方」は応募先ごとに書き直すのがおすすめです。
履歴書と職務経歴書で内容が重なってもいいですか?
学歴や職歴の年月は重なって構いませんが、履歴書をそのまま写すのでは職務経歴書を作る意味がありません。職務経歴書には、履歴書に書ききれない診療の範囲・役割・手技などを詳しく書きます。免許欄や業績の書き方は、医師の履歴書の記事で説明しています。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。