医療事務のパソコンスキルはどこまで必要?苦手な人の練習法と電子カルテ・レセコン
医療事務ではパソコンをどんな場面で使う?

医療事務の仕事は、受付・会計・レセプト(診療報酬の請求)・クラーク業務に分かれます(くわしくは医療事務の仕事内容)。そのほとんどでパソコンを使います。
| 場面 | パソコンで行うこと |
|---|---|
| 受付 | 患者さんの登録・受付の入力、オンライン資格確認の結果の確認、予約システムの操作 |
| 会計 | 診療内容をレセコンに入力し、点数と一部負担金を計算して、領収証・明細書を発行 |
| レセプト | 1か月分のレセプトの点検・修正と、オンラインでの請求 |
| クラーク業務・事務 | 電子カルテの入力補助、紹介状や書類の作成、集計表の作成、メールの送受信 |
電子カルテの普及率は、医科診療所で約55%、一般病院で約65%です(厚生労働省の資料。2023年医療施設調査)。国は「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関」で、患者さんの医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すとしています[1]。紙カルテの職場でも、会計やレセプトはレセコンで行うのが一般的です。
電子カルテとレセコンの入力はどんな作業?
どちらも医療用の専用ソフトで、画面の作りは製品ごとに違います。一般的な作業の流れは次のとおりです。
- 電子カルテ — 医師が診察内容や処方を入力するカルテです。医療事務は、受付の登録、医師の指示に沿った入力の補助、検査や書類の予約の入力などを担当することがあります。どこまで担当するかは職場で決まります
- レセコン — 診療行為や薬を入力すると、診療報酬の点数を計算し、会計とレセプトを作るソフトです。電子カルテと連動していて、医師の入力がそのまま会計に送られる職場もあります
- 入力で大事なこと — 速さより正確さです。保険の種類、診療行為、数量の入力を誤ると、会計とレセプトの両方に影響します。入力後に画面で見直す習慣が求められます
レセプトの仕組みはレセプトとは?で説明しています。点数の計算の考え方を知っていると、レセコンが出した結果が正しいかを確かめやすくなります。
文字入力・表計算はどの程度できればいい?
求められる水準は職場や担当で違います。以下は一般的な説明で、決まった基準ではありません。
- 文字入力 — キーボードを見ながらでも、氏名・住所・カタカナ・数字を間違えずに打てること。漢字の変換で正しい字を選べること(氏名の旧字体など、確認が必要な字もあります)
- マウス・画面の操作 — クリック・ダブルクリック・ドラッグ、ウィンドウの切り替え、画面のスクロール
- ファイルの扱い — 保存する場所を決めて保存する、決まった場所から開く、印刷する
- 表計算(Excelなど) — セルに入力する、合計(SUM)を出す、並べ替える、印刷範囲を整える。集計表や勤務表を作る担当なら、関数をもう少し使うこともあります
- 文書作成(Wordなど) — 決まった書式の案内文や書類に、日付や名前を入れて印刷する
- メール — 宛先・件名・本文を整えて送る、添付ファイルを開く
受付では、患者さんと話しながら入力する場面があります。速く打つことより、手元を見ずに数字やカナを打てると、患者さんの顔を見て対応しやすくなります。
オンライン資格確認・電子処方箋でパソコンの仕事は変わった?
受付と会計の流れに、国の仕組みが加わっています。
- オンライン資格確認 — マイナンバーカードのICチップか、資格確認書の記号番号などで、加入している保険の資格をオンラインで確認する仕組みです。医療機関・薬局には、2023年(令和5年)4月から原則として導入が義務付けられています[2]
- 従来の健康保険証 — 有効期限は2025年12月1日で終了しました。現在は、マイナ保険証か、マイナ保険証を使わない人に交付される資格確認書で受診します[3]
- 読み取れないとき — マイナポータルの資格情報の画面や「資格情報のお知らせ」を見せてもらう、どちらもなければ「被保険者資格申立書」を書いてもらう、といった対応が案内されています[3]。受付では、こうした場面の手順を覚えます
- 電子処方箋 — 処方箋を電子的に運用する仕組みです[4]。電子処方箋で発行したときは、引換番号を印刷した「処方内容(控え)」を患者さんに渡すことができます。導入している医療機関でも紙の処方箋を発行でき、その場合は引換番号を記載した紙の処方箋を渡します[5]
受付での資格確認の流れはクリニックの受付の仕事内容にまとめています。どのシステムを使うか、受付が何を操作するかは医療機関ごとに違うため、入職後に職場の手順で覚えます。
パソコンが苦手でも医療事務はできる?
苦手意識があっても、始められる場合はあります。使うソフトは医療機関ごとに違い、経験者でも新しい職場では操作を覚え直すからです。一方で、次のような不安がある人は、応募前に少し練習しておくと入職後が楽になります。
- キーボードの文字の位置を探しながら打っている
- ファイルを保存した場所が分からなくなることがある
- Excelを開いたことがない、または入力だけしかしたことがない
- メールに添付ファイルを付けて送ったことがない
面接で「パソコンは得意ですか」と聞かれたら、できることとできないことを具体的に伝え、練習していることを添えると伝わりやすくなります。面接の答え方は医療事務の面接でよく聞かれる質問を参照してください。
パソコンスキルはどう身につける?

- 自宅で毎日少しずつ練習する — 文字入力は、住所録や買い物リストなど、実際に使う文章を打つと続けやすくなります。カタカナの氏名と数字(生年月日・電話番号)を正確に打つ練習は、受付の入力に近い練習です
- 公的職業訓練(ハロートレーニング)を調べる — 仕事を探している人向けの公的な職業訓練で、受講料は原則無料(テキスト代は自己負担)です。申込みや相談はハローワークで受け付けています[6]。どんなコースがあるかは地域と時期で違うため、事務やパソコン、医療事務のコースがあるかをハローワークで確かめてください
- パソコンの資格を目標にする — MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)は、Word・Excel・PowerPointなどの利用スキルを証明する資格です[7]。日商PC検定は、業務での文書作成・データ活用・プレゼン資料作成などを測る試験です[8]。どちらも医療事務に必須ではありませんが、練習の目標になります
- 医療事務の講座で学ぶ — 医療事務の講座には、点数の計算やレセプトの仕組みを中心に学ぶものと、医療事務用のソフトの入力を練習するものがあります。次の節で、公式サイトで確認できた例をまとめます
医療事務の資格の種類は医療事務の資格、独学で進める方法は医療事務は独学で受験できる?で説明しています。講座に教育訓練給付金を使えるかは医療事務講座に教育訓練給付金は使える?を参照してください。
レセコン・電子カルテの入力を学べる講座は?
公式サイトで、医療事務用のソフトの入力を学ぶ内容が確認できた講座をまとめました(2026年10月25日確認)。並びは五十音順で、優劣ではありません。講座によって、入力の練習が基本の講座に含まれているのか、別の講座やセットコースなのかが違うので、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
患者さんの情報を扱うときに気をつけることは?
医療事務のパソコンには、患者さんの氏名・保険・診療の情報が入っています。厚生労働省は、医療機関が医療情報システムを扱うときのガイドライン(医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版、令和8年6月)を示しています[9]。働く人として大切なのは、職場のルールに従うことです。
- ログインのID・パスワードを人と共有しない、席を離れるときは画面を閉じる・ロックする
- 職場が決めた以外のUSBメモリや私物のスマートフォンをつながない
- 心当たりのないメールの添付ファイルやリンクを開かない。迷ったら上司に確認する
- 画面や書類を、患者さんや外の人から見える向きに置かない
応募先の採用ページで確かめることは?
パソコンに不安があるときは、応募の前に次の点を見ておくと、自分に合う職場かを判断しやすくなります。
- 電子カルテか紙カルテか、使っているシステム(書いていれば)
- 担当する仕事の範囲(受付・会計のみか、レセプトまでか)
- 入職後の教え方(先輩について覚えるのか、マニュアルがあるのか)
- 書類作成や集計など、Excel・Wordを使う仕事があるか
書いていないことは、面接や職場見学で聞いて構いません。採用直行便の医療事務の求人を探すページでは、地域の病院・クリニックの公式採用ページを一覧で見られます。応募メールの書き方は医療事務の直接応募ガイドにまとめています。
参考資料(確認日 2026年10月25日)
- 厚生労働省「電子処方箋・電子カルテの目標設定等について」(令和7年7月1日) PDF
- 厚生労働省「オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け)」 ページ
- 厚生労働省「資格確認方法について」 ページ
- 厚生労働省「電子処方箋」 ページ
- 厚生労働省「医療機関(主に医科診療所)の皆様へ 電子処方箋導入スターターキット Vol.1.2」(令和8年8月26日更新) PDF
- 厚生労働省「ハロートレーニング(公的職業訓練)とは」 ページ
- 株式会社オデッセイ コミュニケーションズ「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」 ページ
- 日本商工会議所「日商PC検定」 ページ
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)」 ページ
- ニチイ「医療事務講座(医科)」 ページ/日本医療事務協会「医療事務講座」 ページ・「医療事務コンピュータ講座」 ページ/ヒューマンアカデミー通信講座「医療事務講座(eラーニング付)」 ページ
よくある質問
パソコンが苦手でも医療事務になれますか?
なれる場合があります。使う電子カルテやレセコン(レセプトコンピュータ)は医療機関ごとに違うため、操作は入職後に職場のやり方で覚えるのが一般的です。ただし、文字入力やマウス操作に時間がかかると受付や会計が滞りやすいので、基本の操作は応募前から練習しておくと安心です。
Excel(エクセル)はどのくらい使えればいいですか?
職場によって違います。一般的には、表に数字や文字を入力する、合計を出す、並べ替えるといった基本ができれば足りる職場が多い一方、集計表や勤務表を作る担当になると関数を使うこともあります。採用ページの仕事内容や面接で、どんな書類を作るかを確かめてください。
MOSなどのパソコンの資格は必要ですか?
医療事務の仕事にパソコンの資格は必須ではありません。MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)はWord・Excel・PowerPointなどの利用スキルを証明する資格で、日商PC検定は業務での文書作成・データ活用などを測る試験です。練習の目標や、操作できることを示す材料として使えます。
オンライン資格確認では受付は何をしますか?
患者さんがマイナ保険証を顔認証付きカードリーダーにかざすと、加入している保険の資格情報をオンラインで確認できます。マイナ保険証を持っていない人は資格確認書を提示します。オンライン資格確認は、2023年4月から医療機関・薬局に原則として導入が義務付けられています。
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