失業保険の自己都合の給付制限は1か月|受給要件・手続きの流れと再就職手当の条件

公開 2026年10月29日・最終更新 2026年10月29日

結論:失業手当(雇用保険の「基本手当」)は、離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あり、すぐに働ける「失業の状態」にある人が、ハローワークで手続きをして受け取るものです。自己都合退職は、退職日が2025年4月1日以降なら給付制限が原則1か月(5年間に2回以上の自己都合退職で受給資格の決定を受けていれば3か月)。早めに就職が決まると再就職手当の対象になることがありますが、給付制限がある人は待期明けの1か月間は、ハローワークなどの紹介による就職に限られます。

失業手当(基本手当)は誰がもらえる?

公共の窓口で書類を出す

雇用保険の被保険者が離職し、次の2つに当てはまると基本手当を受けられます[1]。

  • 失業の状態にあること — 就職しようとする意思と、いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり、積極的に求職活動をしているのに就職できない状態です。病気やけが、妊娠・出産・育児ですぐに働けない人、しばらく休養する人、家事に専念する人は対象になりません[1]
  • 被保険者期間 — 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や、正当な理由のある自己都合離職など(特定理由離職者)の場合は、離職の日以前1年間に通算6か月以上でも対象になります[1]

被保険者期間の「1か月」は、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上、または労働時間が80時間以上ある月を数えます[1]。

次の就職がすでに決まっている人は、原則として支給を受けられません[3]。退職から入職まで空白がない転職なら、基本手当ではなく、健康保険・年金・住民税などの手続きを確認しておけば足ります(退職後の手続き一覧)。

自己都合退職の給付制限は何か月?(2025年4月以降)

正当な理由がなく自己の都合で退職した場合は、7日間の待期が終わったあとも、一定の期間は基本手当が支給されません。これを「給付制限」といいます[5]。

退職のしかた給付制限
正当な理由のない自己都合退職(退職日が2025年4月1日以降)原則1か月
同上(退職日が2025年3月31日以前)原則2か月
退職日からさかのぼって5年間のうちに、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格の決定を受けている3か月
自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)3か月
倒産・解雇・契約期間満了などによる離職なし

厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット(注1)による[5]。

給付制限がかからない自己都合退職もある

自己都合でも、体力の不足や病気・けが、家族の看護が必要になった、結婚に伴う住所の変更や保育施設の利用で通勤が難しくなった、などの理由による離職は「特定理由離職者」に当たる場合があります[6]。当たるかどうかは、離職票の内容と事情をもとにハローワークで確認します。

教育訓練を受けると給付制限が解除される

2025年4月1日以降に受講を始めた教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などを、離職日前1年以内に受けた人(途中で退校した場合を除く)、または離職日以後に受けている人は、給付制限が解除されます。ハローワークへの申し出が必要で、申し出の期限があります[5]。医療事務などの講座を考えている人は、教育訓練給付制度の解説もあわせて確認してください。

失業手当は何日分もらえる?

基本手当が出る日数(所定給付日数)は、離職理由・年齢・被保険者であった期間で決まります。自己都合退職などの「一般の離職者」は次のとおりで、年齢による違いはありません[2]。

被保険者であった期間1年未満1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
一般の離職者(全年齢)90日(特定理由離職者で受給資格がある場合)90日120日150日

倒産・解雇などによる離職者は、年齢と被保険者期間に応じて日数が多くなる場合があります[2]。

1日あたりの額(基本手当日額)は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与を除く)の合計を180で割った「賃金日額」の、おおむね50〜80%(60〜64歳は45〜80%)です。賃金が低いほど高い率になり、年齢ごとに上限額があります[1]。

受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職の日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると、給付日数が残っていても支給されません[3]。病気・けが・妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けないときは、受給期間の延長を申請できます(延長は最長3年)[1]。

ハローワークでの手続きの流れは?

  1. 求職の申込みと受給資格の決定 — 住所を管轄するハローワークに本人が行き、離職票を出して求職の申込みをします。持ち物は離職票(−1、−2)、マイナンバーカード(ない場合は番号確認と本人確認の書類)、写真2枚(マイナンバーカードを毎回提示する場合は省略できる)、本人名義の預金通帳などです[3]
  2. 待期(7日間) — 受給資格の決定を受けた日から、失業の状態が通算7日になるまでは支給されません[3]
  3. 雇用保険説明会 — 受給資格者証などを受け取り、手続きの進め方の説明を受けます(待期満了後になる場合もあります)[3]
  4. 給付制限 — 自己都合退職の人は、待期満了の翌日から原則1か月間は支給されません[3]
  5. 失業の認定(原則4週間に1回) — 指定された認定日に、受給資格者証と失業認定申告書を出します。求職活動の実績は、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上必要です(給付制限がある場合などは回数の決まりが別にあります)[3][4]
  6. 支給 — 認定を受けた日数分が、本人の普通預金口座に振り込まれます(おおむね1週間程度かかる)[3]

受給中にアルバイトやパートをした日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書に書きます。申告しないと不正受給になり、支給の停止や、不正に受け取った額の3倍の納付を命じられることがあります[4]。

早く就職が決まったら?再就職手当の条件

手帳に就職日を書く

受給資格の決定を受けたあと、早めに安定した職業に就くと「再就職手当」を受けられる場合があります。額は次のとおりです[7][8]。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上 — 基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上 — 基本手当日額 × 支給残日数 × 60%
  • 計算に使う基本手当日額には上限があり、毎年8月1日に変わる場合があります

受けるには、次の8つの要件をすべて満たす必要があります(愛知のハローワークの案内より)[8]。

  1. 就職日の前日までの失業の認定を受けたあとの支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上ある
  2. 1年を超えて勤務することが確実と認められる
  3. 待期満了日以降の就職である
  4. 離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了後の1か月間は、ハローワーク等または許可・届出のある職業紹介事業者等の紹介で就職したものである
  5. 離職前の事業主や、その関連事業主への再就職ではない
  6. 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けていない
  7. 受給資格決定(求職申込み)の前から採用が内定していた事業主に雇われたものではない
  8. 原則として、雇用保険の被保険者になる条件での雇用である

直接応募で決まった場合はどうなる?

4つ目の要件に注意が必要です。給付制限がある人が、待期満了後の1か月の間に求人サイトや医療機関の採用ページを見て自分で応募して就職した場合は、再就職手当の対象になりません。ハローワークの求人でも、紹介状をもらわずに自分で連絡した場合は同じです。一方、その1か月を過ぎてからの就職なら、知人の紹介や広告を見ての応募なども対象になると案内されています[8]。ハローワークのオンライン自主応募もハローワークの紹介にはならないので注意します[3]。

入職日をいつにするかで受けられる給付が変わることがあるため、内定が出たら、入職日を決める前にハローワークに相談すると確実です。また、受給手続きをする前に就職先が決まった場合は、再就職手当を含む各手当は受けられません[4]。

再就職先の賃金が下がったときは

再就職手当を受けた人が、同じ再就職先に6か月以上雇われ、その6か月間の賃金の1日分が離職前の賃金日額より低いときは、「就業促進定着手当」を受けられる場合があります。上限は「基本手当日額 × 支給残日数に相当する日数 × 20%」です[7]。

失業手当を受けながら転職活動をするときの注意点

  • 手続きは早めに — 受給期間は離職の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数を受け切れないことがあります[3]
  • 健康保険・年金も同時に — 空白期間の国民健康保険・国民年金は14日以内に手続きします。倒産・解雇・雇止めなどで離職した人は、国民健康保険料が軽くなる制度があります(詳しくは転職の空白期間の健康保険、年金)
  • 家族の扶養に入っている・入る予定の人 — 失業手当の額によっては、家族の健康保険の被扶養者になれない場合があります。家族の勤務先の健康保険に確認します
  • 認定日と面接の重なり — 認定日は原則として指定された日に来所します。面接などと重なりそうなときは、早めにハローワークに相談します

応募先は公式採用ページで確かめる

採用直行便では、病院・クリニックの公式採用ページを地域や駅から一覧で探せます(条件から探す)。給付制限中に応募するときは、上の「直接応募で決まった場合」の注意点を踏まえ、入職日をハローワークと相談してから決めると安心です。応募の進め方は直接応募ガイドにまとめています。

参考資料(確認日 2026年10月24日)

  1. ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
  2. ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
  3. 厚生労働省・ハローワーク「離職されたみなさまへ」(PL071030) PDF
  4. 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
  5. 都道府県労働局・ハローワーク「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ(令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます)」 PDF
  6. ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
  7. ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_stepup.html
  8. 愛知労働局 ハローワーク「再就職手当について」 PDF

よくある質問

自己都合で退職したら、失業手当はいつからもらえますか?

退職日が2025年4月1日以降なら、ハローワークで受給資格の決定を受けた日から7日間の待期が終わったあと、原則1か月の給付制限があり、その後の期間が支給の対象になります。退職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を受けている場合は、給付制限は3か月です。

次の職場が決まっていても、失業手当はもらえますか?

基本手当は、就職する意思と能力があるのに職業に就けない「失業の状態」にある人のための給付です。厚生労働省のパンフレットでは、次の就職が決まっている人は原則として支給を受けられないとされています。

再就職手当は、自分で応募して決まった職場でももらえますか?

給付制限を受けた人は、待期が終わってから1か月の間は、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で就職した場合に限られます。その1か月を過ぎてからの就職なら、自分で応募した場合も対象になると愛知のハローワークの案内に書かれています。ほかの要件もあるため、ハローワークで確認してください。

受給手続きをする前に就職が決まったら、再就職手当はもらえますか?

厚生労働省のQ&Aでは、受給手続きを行っていない場合は、再就職手当を含む各手当は受けられないとされています。また、受給資格の決定(求職の申込み)より前から採用が内定していた事業主に就職した場合も、再就職手当の対象外です。

失業手当を受け取っている間にアルバイトをしてもいいですか?

アルバイトやパートをした日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書に正確に書く必要があります。申告せずに受け取ると不正受給になり、支給の停止や、不正に受け取った額の3倍の納付を命じられる場合があります。

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この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。

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