転職した年の年末調整と確定申告|前職の源泉徴収票の出し方と還付申告・医療費控除

公開 2026年10月28日・最終更新 2026年10月28日

結論:年内に再就職して年末まで勤めるなら、転職先が前の職場の給与も合わせて年末調整をします。そのために前の職場の源泉徴収票を転職先に出します。源泉徴収票を出せないと年末調整ができず、自分で確定申告をします。年内に再就職しなかった人は年末調整を受けられないため、翌年に確定申告(還付申告)をすると、納めすぎた所得税が戻ることがあります。医療費控除は、年末調整をした人も確定申告で受けます。

退職後の手続きの全体(健康保険・年金・住民税など)は退職後の手続き一覧にまとめています。この記事では、そのうち所得税の年末調整と確定申告を詳しく説明します。

転職した年の年末調整は、どちらの職場がする?

年末調整の書類を書く手元

年末調整は、その年の給与から差し引いた所得税を、年末に1年分の正しい税額と比べて精算する手続きです。年末調整の対象には「年の中途で就職し、年末まで勤務している人」が含まれます(年末調整を行う日までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出していることが前提です)[1]。

つまり、年内に転職して年末まで勤めていれば、年末調整をするのは転職先です。転職先は、同じ年に前の職場から受けた給与も含めて年末調整をします。その際、前の職場の「給与所得の源泉徴収票」などで、支払われた金額と差し引かれた所得税・社会保険料の額を確認します[2]。

状況ごとに整理すると、次のとおりです。

状況年末調整確定申告
年内に再就職し、前の職場の源泉徴収票を転職先に出した転職先が前の職場の分も合わせて行う原則不要(医療費控除などを受けるなら必要)
年内に再就職したが、前の職場の源泉徴収票を出せなかったできない本人が確定申告で精算する[2]
年内に再就職しなかった受けられない(例外は下記)還付申告をすると、納めすぎた税金が戻ることがある[4]
12月の給与を受け取った後に退職した退職した職場で行われる場合がある[1]原則不要

前の職場の源泉徴収票はいつもらえて、どう出す?

勤務先は、年の途中で退職した人に、退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付することになっています(所得税法第226条)[3]。郵送で届くことも多いので、退職前に送り先を伝えておくと安心です。

  • 提出先 — 転職先の年末調整の担当部署(人事・総務など)。年末調整の書類を配られるときに、前の職場の源泉徴収票の提出を求められるのが一般的です
  • コピーを取っておく — 後で確定申告をすることになったときに金額を確認できるよう、写しを手元に残しておくと便利です
  • 2か所以上辞めた年 — 同じ年に複数の職場を辞めた場合は、それぞれの職場の源泉徴収票が必要です

前の職場が交付してくれないときは、まず交付を依頼します。交付期限(中途退職は退職後1か月)を過ぎても届かない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出せます。給与支払明細書の写しがあれば添付し、勤務先に交付を求めたことが分かる書類も添えます[3]。

転職先の年末調整に間に合わず、前の職場の給与を確認できないときは、年末調整は行えず、本人が確定申告で精算することになります[2]。

年内に再就職しなかったら、確定申告(還付申告)は必要?

年の途中で退職し、その年のうちに再就職しなかった人は、年末調整を受けられません。給与から差し引かれた所得税は1年間働く前提で計算されているため、納めすぎになっていることがあります。この場合、退職した年の翌年に確定申告書(還付申告書)を出すと、納めすぎた分の還付を受けられます[4]。

  • いつ出せる? — 還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます[5]。確定申告の期間を待たずに、翌年1月から出せます
  • 還付がない場合 — 源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円の人は、申告しても還付される所得税はありません[5]
  • 作り方 — 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って申告書を作れます[4]
  • 提出先 — 住所地を所轄する税務署(e-Tax や郵送でも出せます)

退職後に自分で払った国民健康保険料(税)や国民年金保険料は、社会保険料控除の対象です。生計を一にする家族の分を自分が払った場合も含まれます。国民年金保険料は、支払ったことを証明する書類を申告書に添付するか、提出のときに提示します[6]。申告の前に、領収書や控除証明書をそろえておきましょう。

例外:退職した職場で年末調整されることもある

年の途中で退職した人でも、次のような場合は退職した職場で年末調整の対象になります(主なもの)[1]。

  • 12月に支給されるべき給与の支払を受けた後に退職した人
  • パートタイマーなどで、その年の給与の総額が136万円以下の人(退職後、その年のうちに他の勤務先から給与を受ける見込みがある人を除く)

自分が年末調整を受けたかどうかは、源泉徴収票で確かめられます。分からないときは、退職した職場に問い合わせてください。

医療費控除は年末調整でできる?

医療費の領収書と電卓

医療費控除は、年末調整では受けられません。年末調整を受けた人でも、確定申告をして受けます。国税庁も、年末調整を受けた給与所得者が医療費控除を受ける場合の確定申告書の記載例を示しています[7]。

  • 対象 — 自分と、生計を一にする配偶者や親族のために、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費[8]
  • 控除額 — (支払った医療費 − 保険金などで補てんされる金額)− 10万円。その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。上限は200万円です[8]
  • 書類 — 領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作って申告書に添付します。健康保険から届く医療費通知があれば、添付して明細書の記入を簡単にできます。領収書は、申告期限から5年間、提示や提出を求められることがあります[8]

転職の年は、退職前の職場の健康保険、空白期間の国民健康保険、転職先の健康保険と、加入先が変わることがあります。医療費通知は加入していた保険ごとに届くため、領収書も合わせて保管しておくと集計しやすくなります。

なお、確定申告をする場合は、給与以外の所得が20万円以下でも、それも含めて申告します[9]。副業や単発の仕事の収入がある人は注意してください。

年内に転職しても、確定申告が必要になるのはどんな人?

年末調整を受けていても、次のような人は確定申告が必要です(給与所得者で確定申告が必要な人の主なもの)[10]。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 1か所から給与を受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
  • 2か所以上から給与を受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人(例外あり)
  • 退職金について、正規の方法で計算した税額が源泉徴収された税額より多くなる人

「前の職場を辞めた後、次の職場に入るまでの間にアルバイトをした」「年末に2か所で働いていた」などの場合は、転職先の年末調整に含まれない給与が残ることがあります。それぞれの源泉徴収票をそろえ、確定申告が必要かを確かめましょう。退職金の税金は退職金の税金の計算方法で説明しています。

住民税はどうなる?

住民税は前の年の所得にかかり、所得税とは別の仕組みで納めます。退職した時期によって、最後の給与からまとめて差し引かれたり、納付書で自分で納めたりします。詳しくは退職・転職した年の住民税を参照してください。確定申告をすると、その内容は住民税の計算にも使われます[11]。

転職先がまだ決まっていないなら

年内に再就職するかどうかで、年末調整を受けられるかが変わります。採用直行便では、病院・クリニックの公式採用ページを地域ごとに一覧で見られます。医療機関の検索から気になる職場の採用ページを開き、入職の時期や条件は各医療機関に直接確かめてください。入職が決まったら、前の職場の源泉徴収票を手元にそろえておきましょう。

参考資料(確認日 2026年10月24日)

  1. 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」 ページ
  2. 国税庁「No.2674 年の中途で就職した人の年末調整」 ページ
  3. 国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」 ページ(根拠:所得税法第226条)
  4. 国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」 ページ
  5. 国税庁「No.2030 還付申告」 ページ
  6. 国税庁「No.1130 社会保険料控除」 ページ
  7. 国税庁「給与所得者(年末調整済)の記載例 給与所得について年末調整を受けた方が、医療費控除及び寄附金控除を受ける場合」 PDF
  8. 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」 ページ
  9. 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(質疑応答)」 ページ
  10. 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 ページ/所得税法第121条(e-Gov法令検索) 法律
  11. 横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は…」 ページ

よくある質問

前の職場の源泉徴収票は、転職先のどこに出せばいいですか?

転職先の年末調整を担当する部署(人事・総務など)に、年末調整の書類と一緒に出すのが一般的です。転職先は、前の職場の給与と差し引かれた所得税・社会保険料の額を源泉徴収票などで確認して、合わせて年末調整をします。提出の時期や方法は転職先の案内に従ってください。

前の職場が源泉徴収票をくれません。

年の途中で退職した人には、退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付することになっています(所得税法第226条)。まず前の職場に交付を依頼し、それでも交付されないときは、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出せます。転職先の年末調整に間に合わない場合は、本人が確定申告で精算します。

年の途中で退職して、その年はもう働いていません。確定申告は必要ですか?

年末調整を受けていないため、所得税を納めすぎていることがあります。退職した年の翌年に確定申告(還付申告)をすると、納めすぎた分の還付を受けられます。還付申告は翌年1月1日から5年間提出できます。ただし源泉徴収票の源泉徴収税額が0円なら、還付される所得税はありません。

退職後に自分で払った国民健康保険料や国民年金保険料は控除できますか?

その年に支払った国民健康保険料(税)や国民年金保険料は、社会保険料控除の対象です。生計を一にする家族の分を自分が払った場合も含まれます。国民年金保険料は、支払ったことを証明する書類を申告書に添付するか、提出のときに提示します。年内に再就職した場合は、転職先の年末調整で保険料控除申告書に記入して控除を受ける方法もあります。

医療費控除は年末調整で受けられますか?

医療費控除は、年末調整を受けた人でも確定申告をして受けます。確定申告書に「医療費控除の明細書」を添付し、医療保険者からの医療費通知があれば、それを添付して明細書の記入を簡単にできます。還付申告なら、翌年1月1日から5年間申告できます。

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