妊娠中の夜勤は断れる?看護師の夜勤免除・残業の制限と母健連絡カードの使い方

公開 2026年10月31日・最終更新 2026年10月31日

結論:妊娠中と産後1年以内の人(妊産婦)が請求すれば、職場は夜勤(午後10時〜午前5時の勤務)・残業・休日出勤をさせてはいけません(労働基準法第66条)。変形労働時間制の長い夜勤(1日8時間を超える勤務)も、請求すれば制限できます。妊娠中は、請求すれば軽い業務への転換も求められます(第65条第3項)。つわりなどの症状や健診の時間については、男女雇用機会均等法で、通院時間の確保や勤務の軽減が事業主に義務づけられており、医師の指導は「母健連絡カード」で職場に伝えられます。

妊娠中の夜勤は断れる?

妊婦がお腹に手を当てる

断れます。労働基準法第66条は、妊産婦が請求した場合について、次の3つを定めています[1]。

  • 深夜業の制限(第3項) — 深夜業をさせてはならない。深夜業は午後10時から午前5時までの勤務です[3]
  • 時間外労働・休日労働の制限(第2項) — 残業(法定労働時間を超える労働)や、法定休日の勤務をさせてはならない
  • 変形労働時間制の制限(第1項) — 変形労働時間制をとっていても、1週40時間・1日8時間を超えて働かせてはならない

病棟の2交代制の夜勤のように、1回の勤務が8時間を超える勤務は、変形労働時間制で組まれていることがあります。この場合、第3項で深夜の時間帯を外すだけでなく、第1項で1日8時間を超える長い勤務そのものも制限を請求できます。

対象の「妊産婦」は、妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性です(第64条の3)[1]。正職員だけでなく、パートや契約職員も含みます。違反した使用者には罰則(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)があります(第119条)[2]。

子育て中の人が使える育児・介護休業法の深夜業の制限は、条件(勤続1年以上など)がありますが、妊産婦の制限は請求するだけで適用されます。子育て中の夜勤の制限は看護師が夜勤なしで働くには?で触れています。

夜勤免除に診断書は必要?いつから請求できる?

第66条の条文は「妊産婦が請求した場合」としていて、医師の診断書や指導を条件にしていません[1]。妊娠が分かった時点から、時期を問わず請求できます。

ただし、職場によっては申出書の様式や、勤務表を作る前の締切を決めていることがあります。勤務表は前の月に組まれることが多いため、夜勤を外してほしい月が決まったら、早めに伝えるほうが調整しやすくなります。請求した内容(いつから、夜勤・残業・休日出勤のどれを外すか)は、メールや申出書など記録に残る形にしておくと、行き違いを防げます。

体調の悪化などで、夜勤を外すだけでは足りないときは、次の均等法の措置と、母健連絡カードを使います。

体調が悪いときは?勤務の軽減と軽易業務への転換

勤務の内容そのものを変えたいときに使える制度は、2つあります。

  • 軽易業務への転換(労働基準法第65条第3項) — 妊娠中の女性が請求した場合、使用者は他の軽易な業務に転換させなければなりません[1]
  • 指導事項を守るための措置(男女雇用機会均等法第18条) — 健診などで医師や助産師から指導を受けたとき、事業主はその指導を守れるよう、勤務時間の変更や勤務の軽減などの措置を講じなければなりません[4]。措置の例として、妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮など)、休憩に関する措置(休憩時間の延長、回数の増加など)、症状に対応する措置(作業の制限、休業など)が示されています[5]

また、重い物を扱う業務など、妊娠・出産に有害とされる業務には、妊産婦を就かせてはならないと決められています(労働基準法第64条の3、具体的な業務は女性労働基準規則で定める)[1][3]。

男女雇用機会均等法は2026年10月1日施行の改正で条番号が変わり、母性健康管理の規定は第17条・第18条になりました(改正前は第12条・第13条)。古い資料では旧番号で書かれていることがあります[4]。

母健連絡カードとは?どう使う?

母子手帳とカード

「母性健康管理指導事項連絡カード」(母健連絡カード)は、医師などの指導事項を事業主に正確に伝えるためのカードです。主治医などが健診の結果をもとに必要なこと(通勤緩和、休憩、勤務時間の短縮、休業など)を書き、本人がそれを職場に出して措置を申し出ます[6]。

  1. 入手 — 厚生労働省のサイトからPDFやPowerPointでダウンロードできます。英語・中国語・ポルトガル語・ベトナム語の併記版もあります
  2. 記入 — 健診のときに主治医などに記入を頼みます(押印は2020年12月25日から不要)
  3. 提出 — 本人が職場(看護師長や人事担当など)に出します
  4. 職場の対応 — 事業主は記載内容に応じた措置を講じる必要があります。カードがなくても、本人の申出などで指導の内容が明らかなら、措置が必要とされています[6]

健診や通院の時間は確保してもらえる?

確保してもらえます。事業主は、妊娠中・産後の女性が妊婦健診などの保健指導・健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければなりません(男女雇用機会均等法第17条)[4]。確保が求められる回数は次のとおりです(同法施行規則第2条の5)[4]。

時期確保が必要な回数
妊娠23週まで4週間に1回
妊娠24週から35週まで2週間に1回
妊娠36週から出産まで1週間に1回
産後1年以内医師や助産師が指示したとき、その指示に従って

医師や助産師がこれと違う指示をしたときは、その指示に従って確保します。この時間を有給にするか無給にするかは法律で決まっていないため、勤務先の就業規則を確認してください。

産休(産前産後休業)はいつから?

産前は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から、本人が請求すれば休業できます。産後8週間は原則として働けません。産後6週間を過ぎて本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就くことはできます(労働基準法第65条第1項・第2項)[1]。出産日は産前休業に含まれます[3]。

産休中の出産手当金や、転職直後の産休・育休の扱いは、育休・産休の前後で転職するときの注意点にまとめています。

職場にはどう伝える?

伝える順番は、直属の上司(看護師長など)に口頭で相談し、そのあと書面やメールで請求内容を残す、という流れが一般的です。伝えるときは、次の点をそろえておくと話が進みやすくなります。

  • 出産予定日と、いま何週か
  • いつから、何を外してほしいか(夜勤・残業・休日出勤・長時間の勤務)
  • 医師から指導があれば、その内容(母健連絡カードを添える)
  • 産休に入る予定の時期と、その後の希望(育休を取るか、など)

書き方の見本(メールで残すとき):

〇〇師長 お疲れさまです。先日ご相談した件です。現在妊娠〇週で、出産予定日は〇月〇日です。労働基準法第66条にもとづき、〇月〇日以降の深夜業(夜勤)と時間外労働の免除をお願いいたします。主治医の指導事項は母健連絡カードのとおりです。勤務表の調整でご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

上の文面は書き方の見本です。職場の様式や手続きがある場合はそちらに従ってください。

妊娠・出産や、第66条の請求、母性健康管理の措置を求めたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは禁止されています(男女雇用機会均等法第9条第3項、同法施行規則第2条の2)[4]。職場が措置をとってくれない、相談しにくいときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます[7]。

夜勤のない職場を考えるなら?

出産後も、子育てとの両立のために夜勤のない働き方を考える人がいます。ただし、妊娠中の転職は、入職のタイミングによって育休や給付金の条件にかかわるため、先に育休・産休の前後で転職するときの注意点を確認しておくと安心です。

採用直行便の看護師向けページでは、地域の病院・クリニックの公式採用ページを一覧で見られ、病床の有無や診療日で絞り込めます。夜勤の有無や勤務時間は、各医療機関の採用ページで直接確かめてください。

参考資料(確認日 2026年10月24日)

  1. 労働基準法 第64条の3・第65条・第66条(e-Gov法令検索) 法律
  2. 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト 用語辞典「労働基準法」 ページ
  3. 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト 用語辞典「妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限」 ページ/「母性健康管理に関するQ&A(母性保護措置)」 ページ/厚生労働省「労働基準法における母性保護規定」(資料) PDF
  4. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第9条・第17条・第18条(e-Gov法令検索、2026年10月1日施行の改正後) 法律/同法施行規則 第2条の2・第2条の5 施行規則
  5. 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト 用語辞典「指導事項を守ることができるようにするための措置」 ページ
  6. 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「母健連絡カードについて」 ページ
  7. 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「法律・制度」 ページ/「女性にやさしい職場づくり相談窓口」 ページ

よくある質問

妊娠中の夜勤免除に診断書は必要ですか?

労働基準法第66条の深夜業の制限は、条文上「妊産婦が請求した場合」に適用され、医師の診断書を条件にしていません。一方、つわりや切迫早産などの症状で勤務の軽減や休業が必要なときは、医師などの指導を職場に伝える「母健連絡カード」を使うと、必要な措置が伝わりやすくなります。

夜勤の免除はいつから請求できますか?

妊娠中であれば時期の制限はなく、妊娠初期から請求できます。対象は妊娠中と産後1年以内の女性です。職場の手続き(申出書の様式や締切)は勤務先ごとに違うため、就業規則や看護部の案内を確認してください。

夜勤を免除してもらうと、不利な扱いを受けませんか?

妊娠・出産や、労働基準法第66条の請求をしたこと、母性健康管理の措置を求めたことなどを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、男女雇用機会均等法第9条第3項で禁止されています。困ったときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

夜勤だけでなく、日勤の残業も断れますか?

妊産婦が請求すれば、時間外労働(法定労働時間を超える労働)と休日労働もさせてはならないとされています(労働基準法第66条第2項)。夜勤・残業・休日出勤のどれを外してもらうかは、職場と書面で確認しておくと安心です。

産休はいつから取れますか?

出産予定日の6週間前(双子など多胎妊娠は14週間前)から、請求すれば休業できます。産後8週間は原則として働けません(産後6週間を過ぎて本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務は可)。

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看護師向け:都道府県から探す 地図・駅から探す 直接応募の進め方

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