看護師の単発バイト・副業の確定申告|20万円以下でも住民税は?就業規則と公務員の兼業
単発バイト・副業の給与は確定申告が必要?

看護師の単発の仕事(スポット勤務、健診や予防接種会場での勤務など)が雇用契約なら、その報酬は給与です。給与を2か所以上から受けている人は、次の条件で確定申告の要否が決まります(所得税法第121条、国税庁 No.1900)[1][2]。
| 状況 | 所得税の確定申告 |
|---|---|
| 年末調整されなかった給与(単発の勤務先などの給与)+給与以外の所得の合計が20万円以下 | 不要(給与の年間収入が2,000万円以下の場合) |
| 上の合計が20万円を超える | 必要 |
| 給与の合計から一部の所得控除を引いた額が150万円以下で、給与以外の所得が20万円以下 | 不要 |
- 「年末調整されなかった給与」とは — 本業の勤務先(扶養控除等申告書を出している勤務先)以外から受けた給与のことです。本業の勤務先の年末調整には、単発の勤務先の給与は入りません
- 20万円は収入で数える — 2か所目の給与は、給与の収入金額(支払われた額)で数えます。給与以外の所得(原稿料などの雑所得)は、収入から経費を引いた所得で数えます[2]
- 雇用でない仕事 — 業務委託の報酬は給与ではなく、所得の種類や数え方が違います。医師の非常勤の例は医師の非常勤は雇用か業務委託かで説明しています。契約の形は、仕事を受ける前に確認しておきましょう
確定申告が必要になったら、本業と単発の勤務先、それぞれの源泉徴収票をそろえます。給与の支払者は、年の途中で退職した人に退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付することになっています(所得税法第226条)[3]。単発の勤務を終えた後に届かないときは、勤務先に交付を頼みます。
「20万円以下なら申告不要」の注意点は?
20万円以下の決まりは、確定申告をしなくてよい場合を定めたものです。次の2点に注意してください。
- 確定申告をするなら全部含める — 医療費控除などのために確定申告(還付申告)をする場合は、20万円以下の給与や所得も含めて申告します。国税庁も、20万円以下の所得を申告しなくてよいという意味ではないと説明しています[4]
- 住民税は別の決まり — 所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります(次の節)
確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に沿って作れます。年の途中で退職・転職した年の確定申告は退職後の手続き一覧でも触れています。
住民税の申告は別に必要?

住民税には、所得税のような「20万円以下なら申告不要」の決まりはありません。横浜市は、住民税は所得税と違い、所得の多少にかかわらず給与所得と合算して税額を計算すると説明しています。所得税の確定申告をすれば住民税の申告をしたとみなされますが、確定申告をしなかった場合は住民税の申告が必要です(給与以外の副収入の例)[5]。
単発の仕事が給与の場合は、勤務先が市区町村に出す「給与支払報告書」で住民税に反映されるのが基本です(地方税法第317条の6)。ただし、年の途中で辞めた人(単発の勤務を終えた人を含む)で、その勤務先からその年に受けた給与の総額が30万円以下の人については、勤務先は給与支払報告書の提出を省略できます[6]。この場合、単発の給与が住民税の計算に入らないことがあります。
- 所得税の確定申告をした — 住民税の申告をしたとみなされ、別に申告する必要はありません[5]
- 確定申告をしない — 単発の分が給与支払報告書で反映されているか分からないときは、お住まいの市区町村の住民税の窓口に、申告が必要か確認します。申告の期限は原則3月15日です(地方税法第317条の2)[6]
副業を始める前に、就業規則を確認するのはなぜ?
厚生労働省は、副業・兼業は原則としてできるとしつつ、就業規則などで定めていれば、次の場合は会社が禁止・制限できると説明しています[7]。
- 本業の労務提供に支障が出る場合(長時間労働による健康への影響を含む)
- 企業秘密が漏れるおそれがある場合
- 会社の名誉や信用を損なう、信頼関係を壊す場合
- 競業により会社の利益を害する場合
始める前にすることとして、①自社の副業ルール(就業規則や労働契約)を確認する、②副業先の業務内容・就業時間・残業の有無を確認する、③就業規則で定められた方法で会社に届け出る、が挙げられています[7]。
雇用されて働く場合、勤務先が違っても労働時間は通算されます。法定労働時間を超えた分は時間外労働になり、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)の対象です。看護師は夜勤のある勤務も多いため、夜勤明けに単発の仕事を入れるなど、疲れがたまる組み方にならないよう、自分でも勤務時間と体調を記録しておきましょう[7]。
公立病院など、公務員の看護師は副業できる?
公務員は法律で兼業が制限されていて、民間の職員より手続きが厳しくなります。
- 地方公務員(都道府県立・市町村立の病院など) — 任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員などを兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得ていかなる事業や事務にも従事することができません(地方公務員法第38条)。ただし、非常勤職員は対象外です。短時間勤務の職を占める職員と、フルタイムの会計年度任用職員は制限の対象に含まれます[8]。許可の基準は人事委員会規則などで自治体ごとに定めます。総務省は2025年6月、各自治体に詳しく具体的な許可基準を定めて公表するよう通知しています[9]
- 国家公務員 — 営利企業の役員の兼職や自営には承認(国家公務員法第103条)、報酬を得て他の事業・事務に従事するには許可(同法第104条)が必要です[10]。内閣人事局・人事院のQ&Aは、非常勤職員(一部を除く)は第103条・第104条の規制が除外されるが、内規で定めがある場合があるとしています[11]
どちらも、まず所属の人事担当に相談し、許可を得てから働き始めます。病院の経営主体によっては公務員ではない職員もいるので、自分の身分は雇用契約書や辞令で確かめてください。
単発ではなく、働き方そのものを変えたいなら
副業を考えるきっかけが「本業の勤務時間や夜勤の負担」なら、勤務時間や曜日の違う職場への転職も選択肢になります。採用直行便は単発の仕事の紹介はしていませんが、病院・クリニックの公式採用ページを地域ごとに一覧で見られます。看護師向けの一覧から候補を探し、勤務の条件は各医療機関の採用ページで直接確かめてください。
参考資料(確認日 2026年10月24日)
- 所得税法 第121条・第226条(e-Gov法令検索) 法律
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 ページ
- 国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」 ページ
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(質疑応答)」 ページ
- 横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は…」 ページ
- 地方税法 第317条の2・第317条の6(e-Gov法令検索) 法律
- 厚生労働省「副業・兼業と労働条件(確かめよう労働条件)」 ページ
- 地方公務員法 第38条(e-Gov法令検索) 法律
- 総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」(2025年6月11日) 報道資料
- 国家公務員法 第103条・第104条(e-Gov法令検索) 法律
- 内閣人事局・人事院「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」(令和6年6月) PDF
よくある質問
単発バイトの給与が年間20万円以下なら、確定申告はいりませんか?
本業の勤務先で年末調整を受けていて、本業の給与が2,000万円以下なら、年末調整されなかった給与(単発の勤務先の給与)と給与以外の所得の合計が20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要です。ただし住民税は別で、申告が必要になることがあります。また、医療費控除などのために確定申告をする場合は、20万円以下の分も含めて申告します。
確定申告をしない場合、住民税の申告はどうすればいいですか?
住民税には所得税のような20万円以下の申告不要の決まりがなく、所得の多少にかかわらず給与と合わせて計算します。単発の勤務先が市区町村に給与支払報告書を出していれば、その給与は住民税の計算に入ります。ただし、年の途中で辞めた人の給与が30万円以下なら、勤務先は提出を省略できます。単発の分が反映されるか分からないときは、お住まいの市区町村の住民税の窓口に申告が必要か確認してください。
単発バイトの源泉徴収票はもらえますか?
給与の支払者は、年の途中で退職した人に、退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付することになっています(所得税法第226条)。単発の勤務を終えた後に届かないときは、勤務先に交付を依頼します。確定申告をするときに、勤務先ごとの支払金額と源泉徴収税額が必要になります。
副業を始める前に、勤務先に伝える必要はありますか?
勤務先の就業規則によります。厚生労働省は、副業・兼業を始める前に自社の副業ルール(就業規則や労働契約)を確認し、定められた方法で届け出るよう案内しています。会社は、本業に支障が出る、企業秘密が漏れる、会社の名誉や信用を損なう、競業になる、といった場合には副業を制限できます。
公立病院の看護師(地方公務員)は副業できますか?
地方公務員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員になる、自ら営利企業を営む、報酬を得て事業や事務に従事することができません(地方公務員法第38条)。単発のアルバイトも、報酬を得て働く以上、許可が必要になります。許可の基準は自治体ごとに定めるので、所属の人事担当に確認してください。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。