退職後に扶養に入るには?失業保険を受ける間の扱いと年収130万円・19〜22歳の基準

公開 2026年10月29日・最終更新 2026年10月29日

結論:退職後に家族の健康保険の扶養(被扶養者)に入れるかは、扶養に入る日以降1年間の収入の見込みで判断します。基準は原則年間収入130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満は2025年10月から150万円未満)で、同居なら扶養する人の収入の2分の1未満なども必要です。失業手当も収入に含まれ、日額3,611円を超えると受給中は扶養に入れません。手続きは家族の勤務先を通して行い、配偶者なら国民年金の第3号被保険者の届出も一緒にします。

退職後の健康保険は、国民健康保険・任意継続・家族の扶養の3つから選びます。3つの比べ方は転職の空白期間の健康保険で説明しています。この記事では、そのうち家族の扶養に入る場合の条件と手続きを詳しく整理します。なお、家族の加入先が健康保険組合や共済組合の場合は、手続きや確認書類がその組合の定めによることがあります。必ず家族の勤務先や加入先に確認してください。

退職後、家族の扶養に入れるのは誰?

家族で書類を確認する手元

健康保険の被扶養者になれる家族の範囲は、続柄で決まっています[1]。

  • 同居していなくてもよい — 配偶者(事実婚を含む)、子、孫、兄弟姉妹、父母・祖父母などの直系尊属
  • 同居が必要 — それ以外の3親等内の親族(おじ・おば・おい・めいなど)、事実婚の配偶者の父母と子
  • 住所 — 原則として日本国内に住所(住民票)があること

そのうえで、主に扶養する人の収入で生活していることを、次の収入の条件で確かめます。

収入の条件は?年収130万円未満の考え方

扶養に入る人年間収入の基準
原則130万円未満
60歳以上、または障害者180万円未満
19歳以上23歳未満(配偶者を除く)150万円未満(扶養に入る日が2025年10月1日以降の場合)

あわせて、同居なら扶養する人の年間収入の2分の1未満、別居なら扶養する人からの仕送り額より少ないことが条件です[1]。同居で2分の1以上でも、扶養する人の収入を上回らず、その人が世帯の生計の中心と認められれば、被扶養者になれる場合があります[1]。

  • 見込みで判断する — 年間収入は、過去の収入ではなく、扶養に入る日以降の1年間の見込みです[1]。退職して給与がなくなれば、その年の退職前の給与は見込みに入りません
  • 給与以外も含む — 雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金・出産手当金なども収入に含めます[1]
  • 給与なら月の目安 — 日本年金機構は、月額108,333円以下なら130万円未満の基準に当てはまるとしています[1]

19歳以上23歳未満は150万円未満(2025年10月から)

扶養に入る日(認定日)が2025年10月1日以降で、扶養に入る人が19歳以上23歳未満(配偶者を除く)の場合、年間収入の基準は130万円未満から150万円未満に変わりました[2][3]。令和7年度税制改正で特定扶養控除が見直されたことに合わせたものです。

  • 年齢の判定 — 扶養に入る日が属する年の12月31日現在の年齢で判定します[3]
  • 学生でなくてもよい — 学生であることは要件ではなく、年齢で判断します[3]
  • その他の条件は同じ — 同居なら扶養する人の収入の2分の1未満、別居なら仕送り額未満という条件は従来どおりです[3]

就職して1〜2年で退職し、親の扶養に入ることを考える人は、この基準を確かめておきましょう。

2026年4月から:給与だけの人は労働契約の内容で判定

扶養に入る人の収入が給与だけの場合、2026年4月1日からは、労働条件通知書などの労働契約の内容から見込まれる年間収入で判定する取扱いが始まりました。契約上の賃金で基準額未満なら、原則として被扶養者として扱われ、当初想定しなかった臨時の収入で結果的に基準を超えても、社会通念上妥当な範囲なら扱いは変わりません。給与以外の収入(年金や事業収入など)がある人は、従来どおりの判定です[4]。退職後に短時間のパートを始めながら扶養に入る場合などに関わります。

失業手当(基本手当)をもらっている間は扶養に入れる?

失業手当(雇用保険の基本手当)は、被扶養者の判定では収入に含めます。そのため、受給する日額によって扱いが変わります[1]。

  • 日額3,611円以下 — 年間収入130万円未満の基準に当てはまります(日本年金機構の案内)
  • 日額3,611円を超える — 受給している間は、年間収入の見込みが基準以上になり、被扶養者になれません
  • 待期期間中 — 被扶養者として認められます。ただし基本手当の受給が始まったら、被扶養者から外す(削除の)届出が必要です(受給額が基準を超える場合)

受給を終えて収入がなくなれば、改めて扶養に入る手続きができます。扶養から外れている間は、国民健康保険か任意継続に入り、年金は国民年金の手続きをします。日額は、ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証で確かめられます。

なお、ここでの「扶養」は健康保険の被扶養者の話です。所得税・住民税の扶養(配偶者控除・扶養控除)は、税法上の所得で判定する別の仕組みです。失業等給付には租税を課すことができないと定められている(雇用保険法第12条)ため、税の扶養とは扱いが違います[6]。税の扶養の条件は、家族の勤務先の年末調整や税務署で確認してください。

扶養に入る手続きは?

保険証らしき白いカードと封筒

手続きは、扶養してくれる家族の勤務先を通して行います。家族の勤務先が協会けんぽに加入している場合、事業主が「健康保険被扶養者(異動)届」を、扶養に入る事実があった日から5日以内に日本年金機構へ出します(電子申請・郵送・窓口)[1]。

  • 家族に早めに伝える — 退職日が決まったら、扶養に入りたいことを家族に伝え、勤務先の担当者に必要書類を聞いてもらいます
  • 続柄の確認書類 — 戸籍謄(抄)本や住民票(発行から90日以内のもの)[1]
  • 収入の確認書類 — 状況に応じて、退職したことや失業手当の額が分かる書類(雇用保険の受給資格者証など)、課税証明書などを求められます[1]
  • 遅れたとき — 届出が遅れて、扶養に入る日が届出日より60日を超えて前になると、扶養の事実を確認する書類が追加で必要になることがあります[1]

退職日の翌日に職場の健康保険の資格はなくなります。扶養の手続きが終わるまでの受診の方法は、家族の勤務先や加入先に確認してください。

年金は?配偶者なら第3号被保険者

国民年金の第3号被保険者は、厚生年金に入っている人(第2号被保険者)の配偶者で、主にその収入で生活している20歳以上60歳未満の人です(国民年金法第7条)[5]。第3号の間は、自分で国民年金保険料を納める必要はありません。

  • 配偶者の扶養に入る — 健康保険の扶養と同時に「国民年金第3号被保険者関係届」を出します。配偶者の勤務先が健康保険組合に入っている場合は、第3号の届だけを日本年金機構に出す形になります[1]
  • 親や子の扶養に入る — 配偶者ではないので第3号にはなりません。20歳以上60歳未満なら、国民年金の第1号被保険者として市区町村で手続きし、保険料を納めます
  • 扶養から外れたとき — 失業手当の受給で扶養を外れる場合などは、その間は第1号になります

国民年金の手続き(14日以内)や、保険料を払うのが難しいときの免除・猶予は転職の空白期間の年金で説明しています。

扶養に入るか、働くかを考えるときは?

扶養に入ると家族の保険料は増えませんが、収入の見込みが基準を超えると外れることになり、働き方の選び方に関わります。いつ・どのくらい働くか、家計全体でどうするかを考えるときは、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談する方法もあります。健康保険・年金の個別の判断は、家族の勤務先や加入先、年金事務所に確認してください。

また働き始めるときは

扶養に入ったあと、短時間のパートや次の職場を探すときは、勤務時間や曜日を各医療機関の採用ページで確かめて比べられます。採用直行便では、病院・クリニックの公式採用ページを地域ごとに一覧で見られます。土曜・日曜・18時以降の診療の有無でも絞り込めるので、地図で探すや医療機関の検索から通える範囲の職場を探し、条件は各医療機関に直接確認してください。

参考資料(確認日 2026年10月24日)

  1. 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」 ページ
  2. 全国健康保険協会 大阪支部「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」 ページ
  3. 厚生労働省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定に関するQ&Aについて」 PDF
  4. 厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」(令和7年10月1日 保保発1001第3号・年管管発1001第3号) 通知
  5. 国民年金法 第7条(e-Gov法令検索) 法律
  6. 雇用保険法 第12条(e-Gov法令検索) 法律

よくある質問

退職した年の収入が130万円を超えていても、扶養に入れますか?

入れる場合があります。被扶養者の年間収入は、過去の収入ではなく、扶養に入る日(認定日)以降の1年間の見込みで判断します。退職して収入がなくなれば、退職前の給与は見込みに入りません。ただし、失業手当(雇用保険の基本手当)や傷病手当金などを受ける場合は、それも収入に含めます。

失業保険(基本手当)をもらっている間も扶養に入れますか?

基本手当の日額によります。日本年金機構の案内では、雇用保険の受給額が日額3,611円以下であれば、年間収入130万円未満の基準に当てはまります。それを超える場合は、受給している間は被扶養者になれません。待期期間中は被扶養者として認められますが、基本手当の受給が始まったら削除の届出が必要です(受給額が基準を超える場合)。

扶養に入る手続きはどこでしますか?

扶養してくれる家族の勤務先を通して届け出ます。協会けんぽに加入している勤務先なら、事業主が「健康保険被扶養者(異動)届」を、扶養に入る事実があった日から5日以内に日本年金機構へ出します。続柄を確認する書類と、収入を確認する書類(離職票や雇用保険の受給資格者証など)が必要になることがあるので、家族の勤務先に確認してください。

親の扶養に入る場合、国民年金はどうなりますか?

国民年金の第3号被保険者になれるのは、厚生年金に入っている人(第2号被保険者)に扶養される配偶者で、20歳以上60歳未満の人だけです。親や子など配偶者以外の家族の扶養に入っても第3号にはならないため、20歳以上60歳未満なら国民年金の第1号被保険者として市区町村で手続きし、保険料を納めます。

22歳の子が退職して親の扶養に入る場合、収入の基準は?

2025年10月1日以降の認定では、19歳以上23歳未満の人(配偶者を除く)は年間収入150万円未満が基準です。年齢はその年の12月31日現在で判定し、学生であることは要件ではありません。同居なら親の年間収入の2分の1未満などの条件は従来どおりです。

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