看護師がクリニックに転職する前に知っておくこと|病院との違い・転職理由・時期
病院とクリニックは何が違う?

医療法では、20人以上の患者を入院させる施設があるものを「病院」、入院施設がないか、19人以下の患者を入院させる施設があるものを「診療所」と定めています(第1条の5)[1]。名前に「クリニック」と付いていても、法律上は病院か診療所のどちらかに当たります。この記事では、主に診療所を「クリニック」と呼んでいます。入院施設のない診療所を無床診療所、19床以下の入院施設がある診療所を有床診療所と呼びます。
働く看護師の数では、病院が大半を占めます。厚生労働省の衛生行政報告例によると、2024年末に就業していた看護師は1,363,142人で、そのうち病院が895,944人(65.7%)、診療所が194,665人(14.3%)でした[2]。
クリニックの看護師の仕事は病院とどう違う?

以下は一般的な傾向です。同じ診療所でも、診療科や規模、院長の方針で大きく変わります。
- 外来が中心 — 無床診療所には入院患者がいないため、病棟の業務はありません。診察の介助、採血・点滴・注射、検査の準備と介助、予防接種、患者さんへの説明や電話での相談対応などが中心になります
- 業務の幅が広い — 少人数で回すため、物品の管理や器具の洗浄・滅菌、受付や事務との連携など、看護以外の周辺業務も担当することがあります
- 人数が少ない — 1日に数名の看護師で外来を回す職場もあります。相談できる先輩が身近にいる反面、一人ひとりの判断と動きが診療の流れに直結します
- 診療時間が決まっている — 午前と午後の2部制で、昼に長めの休憩が入るクリニックもあります。土曜・日曜や夜間に診療するクリニックもあるので、勤務の曜日と時間は必ず確認します
- 夜勤 — 無床診療所では入院患者を看る夜勤は基本的にありません。有床診療所では夜勤や当直がある場合があります
- 教育体制 — 病院のような集合研修やプリセプター制度がなく、先輩について覚える形の職場もあります。看護師には免許を受けた後も研修を受けて資質の向上を図る努力義務があり(保健師助産師看護師法 第28条の2)、病院等の開設者にも新たに業務に就く看護師への研修の実施などに努める義務があります(看護師等の人材確保の促進に関する法律 第5条)[3][4]。具体的な進め方は医療機関ごとに違うので、面接で聞いて確かめます
1年目・3年目でクリニックに移ってもいい?
何年目なら転職してよいという決まりはありません。判断の材料になるのは、年数そのものよりも、今の自分ができることと応募先が求めることが合っているかです。
- 1年目 — 採血・点滴・注射などの基本の手技が一人でどこまでできるかを書き出します。クリニックでは少人数で外来を回すため、手技の練習の機会や確認してもらえる体制があるかを、採用ページや面接で確かめます
- 3年目前後 — 病棟で身につけた観察・アセスメント・患者指導の経験を、外来でどう生かすかを説明できるようにしておきます。診療科を変える場合は、その分野を学ぶ意欲を具体的に伝えます
どちらの場合も、「病院が合わなかったから」だけでなく、「クリニックで何をしたいか」を言葉にしておくと、応募先選びにも面接にも役立ちます。
転職理由はどう整理する?
ハローワークの面接対策資料では、転職(退職)の理由について、否定的な要因はそのまま言わずに言い換えること、うそはつかないことを挙げています[5]。次のように、本当の理由を「次の職場でしたいこと」に置き換えます。
- 夜勤がつらい → 決まった時間の中で、長く働き続けられる働き方をしたい
- 入院期間が短く、患者さんと関われない → 外来で同じ患者さんに継続して関わりたい
- 希望の診療科に配属されない → その診療科を専門にするクリニックで経験を積みたい
- 子育てと両立したい → 勤務時間が決まった職場で、家庭と両立しながら看護を続けたい
転職の時期はいつがいい?
決まった「よい時期」はありません。現実的には、今の職場を円満に辞められる時期から逆算して決めます。
- 就業規則を確認する — 退職の申し出の時期(「1か月前まで」など)が書かれていることが多いです。法律上、期間の定めのない雇用は申し入れから2週間で終了しますが(民法第627条)、トラブルを避けるため就業規則の時期に合わせて早めに伝えるのが無難です[6]
- 引き継ぎの期間を見込む — 担当している業務の引き継ぎや、勤務表(シフト)の調整に時間がかかります。退職日の希望が決まったら早めに上司と相談します
- 応募先の入職時期を確認する — 内定から入職までどのくらい待ってもらえるかは医療機関によって違います。面接で入職できる時期を正直に伝えます
- 診療科の繁忙期も考える — 診療科によっては、季節で患者さんの数が大きく変わることがあります。入職直後が忙しい時期に重なるかどうかも、面接で聞いておくと安心です
応募する前に確認したいことは?

- 看護師が担当する業務の範囲と、受付・事務との分担
- 1日の看護師の人数と、常勤・パートの構成
- 診療時間(土曜・日曜・夜間の診療の有無)と、自分の勤務時間・休憩
- 病床の有無(有床なら夜勤・当直の有無)
- 入職後に業務を覚える流れ、マニュアルの有無
- 雇用形態と、有期契約の場合の更新の考え方
採用ページに書かれていないことは、条件が悪いという意味とは限りません。見学や面接で質問する項目としてメモしておきます。内定後は労働条件通知書などの書面で、聞いた内容と違いがないか確かめます。
クリニックへの直接応募はどう進める?
採用直行便の看護師向けページから都道府県と市区町村を選ぶと、地域の病院・クリニックの公式採用ページを一覧で開けます。市区町村ページでは、病床の有無や、土曜・日曜・18時以降の診療の有無で絞り込めます。駅名を入れると、駅から近い順にも並べ替えられます。応募の進め方とメールの例文は看護師の直接応募ガイドにまとめています。看護師の募集があるか、募集の条件は、必ず各医療機関の採用ページで確認してください。
参考資料(確認日 2026年10月22日)
- 医療法 第1条の5(e-Gov法令検索) 法律
- 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 ページ/概況PDF(表2)
- 保健師助産師看護師法 第28条の2(e-Gov法令検索) 法律
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律 第2条・第5条(e-Gov法令検索) 法律
- ハローワーク山形「面接対策」 PDF
- 民法 第627条(e-Gov法令検索) 法律/厚生労働省「確かめよう労働条件 — 退職、解雇、雇止めなど」 ページ
よくある質問
看護師1年目でクリニックに転職してもいいですか?
法律上の制限はありません。ただ、クリニックは少人数で、病院のような体系立った新人研修を用意していないところもあります。1年目で移る場合は、採血・点滴などの基本の手技をどこまで身につけているかを整理し、応募先の教育体制や入職後の流れを採用ページや面接で確かめてから決めると安心です。
クリニックには夜勤がありますか?
入院施設のない診療所(無床診療所)には入院患者がいないため、入院患者を夜通し看る夜勤は基本的にありません。一方、19床以下の入院施設がある有床診療所もあり、その場合は夜勤や当直がある可能性があります。夜間診療を行うクリニックもあるので、勤務時間は採用ページで確認してください。
転職理由に「人間関係」や「忙しさ」を書いてもいいですか?
うそをつく必要はありませんが、ハローワークの面接対策資料では、否定的な要因はそのまま言わずに言い換えること、うそはつかないことを勧めています。「外来で同じ患者さんに継続して関わりたい」「決まった時間の中で長く働き続けたい」のように、次の職場で何をしたいかの形にして伝えます。
病院とクリニック、どちらで働く看護師が多いですか?
厚生労働省の衛生行政報告例(2024年末)では、就業している看護師1,363,142人のうち、病院が895,944人(65.7%)、診療所が194,665人(14.3%)でした。
次の職場は、公式採用ページから直接応募
採用直行便は、全国の病院・クリニックが自ら公開している公式採用ページを、市区町村・診療科・最寄り駅から探せる無料のサイトです。会員登録は要りません。紹介会社を通さずに応募すると、採用する医療機関に紹介手数料の負担がかかりません。
この記事は一般的な情報提供です。制度・料金・サービス内容は変わることがあります。手続きや申し込みの前に、必ず各機関・各社の公式情報をご確認ください。